日本におけるアジア学の研究情報を総合的に組織化し、発信することを目的
としたページです。アジア各国の書店・図書館情報、留学情報のほか、
「論集~アジア学の最前線」では各種の研究エッセイを掲載し、若手アジア
研究者の研究情報や意見の交換の場を目指しています。
■「論集~アジア学の最前線」では、日本国内におけるアジア研究の
動向をご紹介します。長期または短期の研究動向レビュー、出版物や展示会の紹介、
執筆者自身の新しい研究課題、資料や調査方法に関する議論などを随時掲載します。
■「本のある街角」は、アジア、そして世界の本屋さんと
図書館をめぐる tea break エッセイです。
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18/03/27
ペルシア文庫蔵ガージャール朝期ペルシア語文書コレクションについて
ハーシェム・ラジャブザーデ
本記事は『明日の東洋学』(東京大学東洋文化研究所附属東洋学研究情報センター報)第39号(2018年3月刊)、2-6 頁に掲載された、ハーシェム・ラジャブザーデ著;水上遼訳;森本一夫編「ペルシャ文庫蔵ガージャール朝期ペルシャ語文書コレクションについて」のペルシア語原文である。
16/02/19
「電気」の意味変遷と近代的な意義――A.コントの「三段階の法則」の視点を中心に――
張 厚泉
日本語の「電気」は、かつて「越歴的里失帝多」や「越歴」といって、「器」や「玩具」の意味であった。本稿は主にオーギュスト・コントの提唱した精神発達の「三段階の法則」を知識(概念)形成の過程に援用した視点で、日中両言語の「電気」の意味変遷と交流について検証したものである。
15/06/11
「難民」とフィルモア大統領国書の翻訳
張 厚泉
近世日本にとって、一番衝撃を与えたのはペリーの黒船来航である。ペリー来航の目的は日本に開国を求めることであるが、そのうちの一つは、携えてきたフィルモア大統領国書によると、難破した船と乗組員の救助と保護である。本論は、大統領国書の翻訳に用いられた「難民」という語に注目し、その意味と使用について検証したものである。
14/08/29
『京報』と外国人 −1870年代の中国飢饉の情報伝播を中心として
趙 瑩
1871年以後、上海の英字新聞は、定期に中国の法令や奏聞を掲載した「京報」の訳文を掲載するようになった。そのため、一般的なイギリス人が、中国の情報を得るようになり、中英外交に大きな影響を及ぼした。本文では、1870年代の飢饉を例として、上記の問題を考察したい。
14/03/10
ホームからグローバルへとひろがる人類学
嶺崎 寛子
地域研究の枠を越えた広がりを持つ宗教教団を研究することの楽しさと難しさ、そしてその研究がどのような現代的意義を持っているかを紹介。
13/12/19
中国政治研究の現状と課題
鈴木 隆
今日の中国政治の実情を踏まえつつ、日本や米国での研究動向やそこでの問題点、および、中国政治の将来を展望する上で今後重要であろうと思われる研究上のいくつかの論点について、<徒然なるままに>書き記した研究エッセイ。
13/01/18
「植民地官僚」研究の現在――英領インドの「パンジャーブ学派」を巡って
三瀬 利之
近年の帝国史研究では、植民地官僚を一括して捉えるのではなく、個々の官僚の肖像や、省庁や部局毎の性格を、実証的に再検討する作業が進められるようになった。近現代インドに大きな刻印を残している英領インドの行政官の場合、どのような議論が浮かびあがってくるのだろうか。「パンジャーブ学派」と形容される、ある官僚集団の研究から考えてみた。
12/01/24
中国台頭時代の中国研究
益尾 知佐子
中国社会に活力がみなぎり、中国の台頭が国際的な注目を集める中で、中国研究者に求められる社会的任務や、中国研究の手法や視角は急速に変わりつつある。暗中模索する一中国研究者が、自分の試行錯誤をふりかえったエッセイ。
11/02/01
近現代中国の憲政問題と国際情勢
中村 元哉
革命・戦争・社会主義・ナショナリズムの歴史として理解されがちな中国近現代史において、なぜ憲政問題が清末から現在まで主要な争点であり続けているのか。中国を取り巻く国際情勢をも視野に入れながら、近現代中国の憲政問題を考える。
08/03/05
香港
吉川 雅之、廣江 倫子、鈴木 典子
08/02/25
金融再建の比較研究 — 韓国、タイ、メキシコ
岡部恭宜
一ヶ国研究でも多数事例の定量分析でもない、少数事例の比較研究を行う意義や理由はどこにあるのだろうか。1990年代の金融危機以降、韓国、タイ、メキシコが進めてきた金融再建に関する比較研究を通じて、この問題を考えてみたい。
08/02/06
ポスト・スハルト期の国家法と慣習(法)への人類学的アプローチ
高野さやか
2008年1月27日、スハルト元大統領の訃報が全世界に伝えられた。在任中には強固な中央集権体制が築き上げられたもののそのひずみは、90年代に入り経済不安や民主化を求める暴動となって現れ、社会のさまざまな領域に大きな影響を及ぼしつつある。
07/04/03
日韓音楽関係史にみるポストコロニアリズム −日本での鄭京和−
藤井 浩基
韓国人バイオリニスト鄭京和は、常にサイード的なオリエンタリズムや韓国人のエスニシティと対峙しなくてはならなかった。戦後、ポストコロニアリズムのなかで、鄭京和をめぐる日本での批評を軸に韓国人と音楽を結びつける言説の傾向に迫る。
07/03/23
ベトナムの今—「南学日本語クラス」から思うこと—
田中健郎
2年間の留学を終えたばかりの筆者が、「南学日本語クラス」の歴史と学生達の様子から「ベトナムの今」の一面を紹介する。学生の間の「現代っ子」と「新時代人」という対比が現在の社会変化を象徴している。
06/03/20
2004年インド洋大津波後のタイ南部を歩く
市野澤潤平
004年のインド洋大津波は、タイ南部においても甚大な被害をもたらした。人材不足の中、タイの国際観光の研究者である筆者が要請を受け、津波の被災状況の視察に向かった。災害研究の門外漢が見た被災地の記録。
06/02/23
コロンビア大学におけるアジア研究—NYとアジアの接点とともに—
井上実佳
筆者は、2005年から2006年にかけてコロンビア大学のSIPA(The Schoolof International and Public Affairs)で在外研究を行う機会を得た。本稿では、その経験をもとに、ニューヨーク・マンハッタンの様子やコロンビア大学におけるアジア研究を取り上げたい。
06/02/15
アジア伝統医学史の研究方法をめぐって
帆刈浩之
グロバリゼーションの名のもと、地域固有の伝統知識が囲い込まれる中、アジアの伝統医学の制度化は歴史的に何を意味するのか。伝統科学と近代科学の諸学問を同カテゴリーとしてではなく、固有の歴史的展開をふまえ多様なアプローチから検討する必要性を説く。
05/12/28
現地を歩いて気付くこと
榎本 渉
日本の港町を歩いて気付いた「唐船島」の地名と、そこにまつわる伝承。「唐船島」が前近代の国際貿易港の周辺に分布する事実を紹介する。
05/12/16
戦後日本外交史研究における一次史料探訪
昇亜美子
著者の個人的体験に基づき、戦後日本外交史、特に日米関係と日本のアジア外交を研究する立場から、日本と米国の史料の公開状況やアーカイブスの利用方法について紹介する。分野の異なる研究者をはじめ、これからアーカイバル・ワークをする学生にも役立てられる。
05/02/25
日本と東南アジアの戦後史 —新たな視点から—
保城広至
敗戦後、日本は東南アジアをどのように捉え、どのようにして関係を取り戻していったのか?戦後から1970年代にかけての日本による東南アジア外交の歴史を、論争になると思われる仮説や提言も盛り込み、通説とは違った視点で論じる。
04/12/21
ミシガン大学の中国研究:その研究者養成のしくみ
中里見敬
アメリカの大学院で人文・社会科学の研究者はどのように養成されているのだろうか。短期集中の積み重ねによって博士学位を取得し、研究教育職に就くまでの過程を、ミシガン大学での見聞をもとに報告する。
04/12/10
江戸の天文・和算史料論序説
平岡隆二
江戸時代の天文・和算にまつわる史料は、現在国内外の分散して収蔵されており、それに関する情報は日々増大している。既存の体系の中に位置づけていくためには情報をたえず集積し、それらの情報との相互参照という形で、可能な限り多くの比較を積み重ねることが必要とされる。
04/12/10
近代中国の地方文献についての覚書
佐藤仁史
清末民国期の江南の出版文化はその地域社会の自己主張の手段とも見受けられる。それは、こうした地方文献の背景は在地の指導層の動きと密接な関係していたからである。今回、資料調査にて見つけた資料を紹介し、地方文献の利用価値と注意点を解説する。
04/11/16
安田弘先生捐贈正平本『論語』等十一種
橋本秀美
中国で古来注目され、日本でも最も重要な古版本−正平本『論語』。その安田文庫旧蔵であった正平本『論語』が、安田弘先生に伝えられ、すべて東洋文化研究所に寄贈された。その意義は計り知れなく大きく、ここにそれを紹介する。
04/11/16
『大木幹一氏旧蔵ノート』とその底本
高遠拓児
東京大学東洋文化研究所蔵大木文庫の寄贈者として知られる大木幹一氏の旧蔵に関する39冊のノート。その『大木幹一氏旧蔵ノート』についての紹介とノートに記された各種史料についての解説。
04/10/01
チベット高原学会の会場外にみるチベット社会の素顔
シンジルト
この夏、ラサで開かれた国際シンポジウムに参加したモンゴル人の著者が、観光化の進む寺院の僧侶や、エクスカーションに雇われた車の運転手など、そこで出会ったチベット人と、チベットの社会的現実について語る。
04/07/12
族譜・アイデンティティ・日韓関係
玄 大松
いま韓国の猛烈女性たちが日韓関係の軸を揺るがす! 韓国において、個人と門中、そして社会との関係を表象する記号として意味をもつ族譜。族譜をアイデンティティ・歴史認識のコンテクストから読む。
04/07/02
文理融合型研究プロジェクトと文化人類学者
尾崎孝宏
近年、若手研究者も参加する機会が増えてきた文理融合型プロジェクトに文化人類学者が参加する場合にぶつかる困難とその克服案について、中国乾燥域で現在実施中の「オアシスプロジェクト」を例として紹介する。
04/07/01
漢字ツールよりも電子テキスト?
二階堂善弘
いままで漢字情報処理はかなり理念先行型で失敗してきたように思える。実際には漢字処理のツールよりも、データベースや電子テキストなどのコンテンツの方がはるかに重要であった。いまこそ、もう一度コンテンツ重視の姿勢に立ち戻るべきではないか?
04/06/22, 03/10/03
中国・台湾
山本 英史
04/06/16
世界で一番贅沢な紙 —南屏紙—
菅 豊
中国・淅江省温州市の山奥では、今なお伝統的な製法による紙漉きが行われている。山野で伐採した竹を原料とし、半年以上の年月と幾段階もの複雑な工程を経て作られる、いわば世界で一番贅沢な紙、その用途は…
04/05/07
「国益を反映したODA」を考える
石田正美
2003年8月、「ODA大綱」の改定にあたり、「国益の反映」が非明示的ながらもODAの目的に加わった。筆者は、日本の最大の援助供与国の1つであるインドネシアの調査体験に基づき、「国益を反映したODA」の類型とその是非について論じる。
04/04/27
ポルトガル関係史料によるインド史研究入門
真下裕之
15世紀末から16世紀にかけて環インド洋地域を訪れたポルトガル人は、インド社会の動態を克明に写し取り、大量の記録を残している。本稿は、ムスリム支配時代のインド史研究にポルトガル関係史料を役立てるための実用的入門書である。
04/04/23
甲種本攷 -- 現代中国書の書誌学的研究のひとこま
小島浩之
現代中国書には、タイトルが同じであるにもかかわらず、甲種本、乙種本、丙種本などの区別をもって流通している場合がある。一般に図書館の目録担当者の間では、料紙や装丁の相違を表す言葉だと理解されているが・・・
04/04/16
モンゴル都市・建築史を構築する夢を見て
包 慕萍
文化大革命によって破壊され、3日3晩燃え続けた壮麗なラマ寺院。大人たちは失われた寺の記憶を語り継ぎ、舗装だけが残る寺の跡地は子供たちの秘密基地になっていた——印象的な実体験を交え、内モンゴルに生まれた著者が、「遊牧文明における都市と建築」の研究を構想するまでを語る。
04/04/12
1冊の写本に向き合うことから分かるもの — ペルシア語写本研究の問題と新たな可能性
—渡部良子
ペルシャ語写本史料が身近になっている現在、校訂=原テキストの再構築という方向性が主であった従来の研究目的は、写本の来歴・性質を割り出す根拠・物理的特徴を含めさらに深化拡大している。重要写本研究の紹介をしつつ、今後、写本研究に関する知識を広く開放してゆこうとする動きに、積極的に参加することの大切さを述べる。
04/04/01
中国古典詩研究と歴史主義そのほか
浅見洋二
作者と作者の生きた時代背景に依拠する歴史主義的手法は最もオーソドックスな文学研究のスタイルだった。近代以降の文学理論は、歴史主義に対する離反と接近をくりかえしている。そうした欧米の動きは日本の中国古典詩研究とも無縁ではない。
04/03/24
中国演劇研究の現状と展望
加藤 徹
二十世紀初頭に始まった中国演劇研究は、コンセプト面でしばしば日本人研究者がリードしてきた。二十一世紀もその潮流が続くかどうか、いま微妙な段階にさしかかっている。
04/03/23
アジア研究の一隅−流通勉強会に集う
岩﨑葉子
人間社会に普遍的に存在する現象である「流通」を切り口に、地域研究の深化を目指す研究会を紹介する。イランの書籍再販制度分析など、研究会の成果が実り始めている。アジアの生の情報との融合によって新たな地平の開拓が期待される。
04/03/18
博物館コレクションをコレクションする
田口理恵
モノに刻まれた多様な履歴を手がかりにモノデータベースを構築し、フィールドワークツールとして活用していく可能性を追求。国内博物館所蔵資料から、いかにしてモノデータベースを構築していくのか、古くて新しい手法による挑戦が始まっている。
04/03/01
「d'CATCHの挑戦」
坂田邦子
アジアのメディアにおいて文化の多様性とはどのように担保できるのか。映像メディアにおける多文化共生とは何を意味するのか。国際的な実践共同研究「d’CATCH」を通じて、グローバルに変容するアジアのメディア文化について考える。
04/03/01
西アジア考古学から見たイラク戦争
小泉龍人
日本人による西アジア考古学の研究はイラクで始まった。しかし現在、イラクの文化遺産がかつてない危機に直面している。博物館から文化財が略奪され、古代遺跡は白昼堂々と盗掘されている。西アジア考古学の立場からイラク戦争後の動静を見る。
04/01/06
あちらの事情、こちらの思惑—建築史、都市史をめぐる断章
村松 伸
建築史や都市史は、歴史学では際物あつかいされています。でも、本当は奥が深い(のかもしれない)。あちらの「一般史」の方も、こちらの建築史、都市史の方も、それぞれ事情や思惑がありましょうが、それはさておき、お互いに敬遠しないで、仲良くなりましょう。
04/01/06
日本人のシンガポール体験
西原大輔
日本人はシンガポールをどのように見て来たのか? 筆者は、幕末以来この港湾都市を訪れた日本人文学者や画家らの断片的な記録を収集している。シンガポール研究史を概観するとともに、日本人のシンガポール体験史を論じる。
03/12/01
中国現代文学史はいかに「書き換え」られたか
鈴木将久
中国現代文学史の「書き換え」が唱えられてすでに二〇年近くがすぎた。日本の研究界は、この間どのような成果を生みだし、現在いかなる課題に直面しているのだろうか。
03/11/18
ガイダンス 東南アジア経済研究
ワイラートサック 薮下 ネーナパー
通貨危機後も世界の注目を集める東南アジア経済。この地域経済の研究状況を、開発経済学、国際経済、アジアビジネスという3つの分野に分類して整理。日本にある東南アジア経済に関係する研究機関と統計資料等も紹介。
03/11/18
ある一人の入宋僧
榎本 渉
入宋日本僧とされている白蓮社に関係する史料を考察し、白蓮社入宋説が誤説である可能性が高いことを指摘。徹底した史料採集・整理によって、入宋僧に関する通説の再検討が必要かつ可能であることを暗示。
03/11/12
中国史への内在的研究姿勢と外在的研究姿勢
青木 敦
中国史研究において、中国文化に即した(内在的)研究姿勢と、外部の要素に目を向ける(外在的)研究姿勢のそれぞれの効用及び限界を指摘し、両者のバランスをとることの重要性を説く。
03/10/22
漢籍電子検索の普及と中国前近代史研究
青木 敦
台湾中央研究院を事例に漢籍の急速な電子化状況を紹介。そして電子化がもたらした影響を確認したうえで、研究・大学教育における利用上の利点・注意点を指摘。
03/10/14
現代イスラームへの視点−原理主義とスーフィズム
赤堀雅幸
近年、人類学を含めた現代イスラーム研究の中心的課題であった「原理主義」に関する共通理解と、これを相対化し、さらに総合的なイスラームの現代像を模索するためのスーフィズム研究の可能性。
03/10/14
居場所を変える作品たち
板倉聖哲
日本・中国古美術の所蔵先の移動が激しくなっている今日、寄贈側、受贈側双方による作品への配慮が求められている。その好例ともいえる植村和堂氏コレクションの根津美術館への寄贈を紹介。
03/10/14
台湾における日本殖民時代の蔵書と日本のアジア研究
王 詩倫
台湾の日本植民地時代の統治主体である総督府の資料、また総督府及び関係者によって集められた書籍・資料が現在所蔵されている機関の紹介。アジア研究という視野からそれら資料の利用価値及び可能性を探る。
03/10/14
日本におけるアジアの建築史研究
深見奈緒子
アジアにおける建築史研究の問題点をふまえ、日本の建築史研究を再検討。現代における日本の建築史研究の実用性を指摘するとともに、アジアから世界建築史の視角を提案する必要性を説く。
03/10/14
東地中海のイスラーム・西欧史料をめぐって
堀井 優
中東・ヨーロッパ間の異文化接触の現場から生み出された史料には、研究上いかなる価値があり、またどのような限界があるだろうか。16世紀前半のオスマン朝、マムルーク朝、ヴェネィアの史料を例に考える。
03/08/01
イスラエル
文責:小田島 直矢 / 情報提供者:大原 由美