ウズベキスタン
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ウズベキスタン留学案内
島田 志津夫

【はじめに】

 ソ連時代にはウズベキスタンへの留学は非常に困難であったが、1991年の独立以降、状況は着々と変化し、現在では普通に留学できるようになった。筆者は2000年1月より2002年5月までウズベキスタンのタシュケントに留学する機会を得た。いささか情報が古くなってしまった感もあるが、筆者の体験をもとにウズベキスタン留学についての情報を提供したい。

【どの機関に留学するか?】

 ウズベキスタンへの留学先として、その目的に応じて二つの受入機関が考えられる。1)語学習得を主目的とする大学への留学、2)各自の専門研究を主目的とする科学アカデミーなどの研究所への留学、の二つである。外国人への語学研修を専門におこなう語学学校は、現在のところウズベキスタンには存在しない。

 大学への留学は、学生あるいは聴講生として大学に在籍し、語学やその他の授業に出席することができる。ただし、外国人留学生用の特別な語学授業(ロシア語、ウズベク語)が恒常的に用意されているわけではなく、各留学生の状況に応じてケースバイケースで語学授業が開講されるようである。大学によっては数週間から数カ月間の外国人用語学研修コースを設けているところもあるようなので、詳細は各大学に問い合わせられたい。タシュケントの外国人留学生を受け入れている大学としては、ウズベキスタン国民大学(旧タシュケント大学)Natsional’nyi Universitet Uzbekistana(※2004年4月28日現在、リンク障害あり)、東洋学大学Tashkentskii Gosudarstvennyi Institut Vostokovedeniya、世界経済外交大学Universitet Mirovoi Ekonomiki i Diplomatiiなどがあげられる。

 科学アカデミーの研究所への留学は、各自の専門分野に応じて受入研究所を選び、研究生として研究所に所属することになる。研究生は、授業に出席しなければならないなど、とくに決まった義務はなく、基本的には各自が自由に研究活動をおこなうことができ、指導教官から適宜アドヴァイスを受けることもできる。科学アカデミーの研究所は教育機関ではなく研究機関であるので、語学の授業などはない。研究所に留学しようとする場合は、専門研究を遂行するのに必要な基本的な語学能力(ロシア語あるいはウズベク語)を持ちあわせていることが望ましい。必要であれば、個人的に家庭教師などから語学の授業を受けることもできる。

 以下に、これまで日本人留学生を受け入れたことがある科学アカデミーの研究所(芸術学研究所のみ芸術アカデミーの所属)の名称、専門分野、連絡先をあげておく。

東洋学研究所(東洋学・歴史学:中世から前近代)
    Institut Vostokovedeniya AN RUz.
    Tashkent, ul. Khabiba Abdullaeva 81
    Tel.: +998 (71) 162-54-61

言語・文学研究所(言語学・文学)
    Institut Yazyka i Literatury AN RUz.
    Tashkent, ul. Muminova 9
    Tel.: +998 (71) 162-42-64 Fax: +998 (71) 162-94-34
    
歴史学研究所(歴史学:主に近現代・民族誌学)
    Institut Istorii AN RUz.
    Tashkent, ul. Muminova 9
    Tel.: +998 (71) 162-38-73 Fax: +998 (71) 162-93-51

芸術学研究所(芸術学・考古学・建築学・音楽学)
    Institut Iskusstvoznaniya Akademii Khudozhestv RUz.
    Tashkent, pl. Mustakillik 2
    Tel.: +998 (71) 139-46-77 Fax: +998 (71) 139-17-71, 139-17-75

【授業料・在籍料】

 科学アカデミーの研究所の場合、外国人研究生としての在籍料は一律年間3000ドル(2003年現在)である。在籍が1年に満たない場合は、月割りした金額を支払う。この3000ドルという金額は政府によって決められたものであり、大学に在籍する外国人留学生の授業料にも当てはまるというが、実際には授業料は各大学の判断によって決められているようである。大学の授業料の詳細については、各大学に直接問い合わせられたい。

【奨学金】

 ウズベキスタン政府から外国人留学生に対して給付される奨学金制度はない。日本の各種奨学金制度を利用するか、私費で留学することになる。

【留学手続きの手順】

 まず、希望する留学先機関に手紙を出し、留学を希望する旨を伝える。手紙には留学の目的、期間、日本での所属先、研究テーマ(科学アカデミーの研究所の場合)、パスポートデータ、連絡先などを記入する。状況は変わりつつあるものの、ウズベキスタンでは研究機関の実務担当者レベルではまだ英語が通用しないので、手紙はロシア語で書くことが望ましい。

 受入が決定されると、留学先機関が就学ヴィザ取得のための招待状作成作業を進めてくれる。招待状作成のためには、留学先機関から外務省など関係省庁に対して複雑な事務手続きをする必要があり、しばしば数ヶ月単位の時間がかかることがあるので、時間に余裕を持って早めに留学手続きを始められたい。

 科学アカデミーの研究所に留学を希望する場合は、各研究所に受入希望の手紙を出すと同時に、科学アカデミー本部の外事部にも同様の手紙を出すことが望ましい。外務省などに実際の手続きをおこなうのは、各研究所の職員ではなく科学アカデミー本部の外事部の職員であるので、外事部に留学希望者の情報が直接いっていれば手続きが早く進む。科学アカデミー本部外事部の連絡先は以下のとおり。

    Prezidium Akademii Nauk RUz.
    Upravlenie vneshnikh svyazei
    Tashkent, ul. Gogolya 70
    Tel.: +998 (71) 133-73-31 Fax: +998 (71) 133-49-01, 133-44-45

 無事、留学先機関からヴィザの招待状が届けば、在日ウズベキスタン共和国大使館にてヴィザ申請をおこなう。ヴィザ申請には、申請書(大使館に用意されている)、招待状、パスポート、ヴィザ料金が必要で、ウズベキスタン本国から大使館へヴィザ発給許可の入電があれば普通1週間ほどでヴィザが発給される。留学期間の長短にかかわらず、おそらく日本のウズベク大使館では2カ月分ぐらいの有効期間のヴィザしか発給されないので、現地に到着後、ヴィザの期間延長をする必要がある。また、とりあえず観光ヴィザでウズベキスタンに入国し、到着後に現地で就学ヴィザに資格変更するということはできないようであるので、注意が必要である。

【現地到着後の手続き】

 現地到着後の手続きとして、1)居住登録、2)ヴィザ延長の手続きをおこなわなければならない。

 外国人は、入国後3営業日以内に所轄の内務省ヴィザ登録部(OVIR)に居住連絡先を届け出なければならないことになっている。実際の手続きは留学先機関の事務が代行してくれるはずである。筆者の場合、公証人役場で作成した大家との賃貸契約書など、確かにその住所に居住していることを証明する書類を何種類か用意しなければならず、手続きは煩雑であった。

 ヴィザ延長の手続きも留学先機関の事務が代行してくれる。科学アカデミーの研究所に留学した場合、居住登録とヴィザ延長の手続きのどちらもアカデミー本部の外事部が代行してくれるので、留学生は外事部に赴き、直接担当者とやりとりする必要がある。居住登録もヴィザ延長も、一般的にその手続きには時間がかかり、筆者の場合、その両方が完了するのに3カ月以上の時間がかかった。その間、パスポートは預けたままになるので、居住地から身動きがとれないばかりか図書館も利用できなかったのには閉口した(図書館の利用登録にはパスポートが必要である)。

 大学や研究所の受入手続きには、学歴を証明する書類が必要になることもあるので、日本の大学から発行された英文の卒業証明書や在籍証明書を準備していったほうがよいであろう。

【住居】

 大学に留学した場合、大学によっては寮があるので、現地の学生と一緒に寮で生活することもできる。科学アカデミーの研究所に留学した場合は、個人で部屋を借りたり、ホームステイしたりすることになる。基本的に研究所が留学生に住居を斡旋することはないので、知り合いのつてを頼るか、不動産屋などを介して探さなければならない。タシュケントでは、立地条件や広さにもよるが100ドルから200-300ドルくらいの家賃で外国人一人が住むのに十分な広さ・設備のアパートが借りられる。賃貸アパートは普通は家具付きなので、入居にあたって新たに家財道具を買い足す必要はほとんどない。

【生活環境】

 タシュケントは、ソ連時代にインフラ整備された近代都市であり、電気・ガス・水道(冷水・温水)・電話・集中暖房の設備が整い、生活する上で何の不自由もない。乾燥地帯に位置するが、夏でも水は豊富で断水することはなく、基本的に停電することもない。

 慢性的なインフレ傾向にあるものの、日本に比べれば物価は相当に安く、町の食堂で食事をしても1食あたり1ドルとかからない。たまに外国人向けのレストランで食事をしたり本を買ったりしても、1カ月あたりの生活費は100ドルから200ドルぐらいであろう。

 ウズベキスタンでは、現在のところ銀行のキャッシュカードで現金が下ろせるようなATMはまったく普及していない。トラベラーズ・チェックの利用もあまり一般的でない。ウズベキスタンの銀行に口座があれば外貨送金を受けられるようであるが、外国人が気軽に口座を開設できるかどうかは定かではない。筆者の場合、すべての生活費を日本から現金で持っていった。

 通信環境は、比較的良好である。タシュケントでは電話回線にアナログ回線とデジタル回線の2種類があるが、デジタル回線であれば日本の通信環境と変わらない。国際電話も自由にかけることができる。近年、インターネットも急速に普及しつつあり、町のいたるところにインターネット・カフェができている。筆者の留学中は、プロバイダと契約し、自宅からダイヤル回線でインターネットに接続していたが、最近ではインターネット・カードやISDNによる接続サービスも始まっているようである。

【言語状況】

 ウズベキスタンの国語はウズベク語である。しかし、ソ連による統治の経験から現在でもロシア語が広く使用されている。ウズベキスタンは多民族国家であり、ロシア人やウクライナ人、朝鮮人などロシア語を母語とする国民が多く住んでいる。とくにタシュケントは、人口の約半数がロシア語話者の非ウズベク人によって占められており、日常生活におけるロシア語使用頻度が高い。タシュケントでは、ソ連時代に教育を受けた人はもちろん、独立後に教育を受けた若い世代でもロシア語を話せないウズベク人はほとんどいない。その逆に、ロシア語を母語とする人々は、ウズベク語をまったく話すことができない。

 大学では、言語ごとにクラス分けがなされ、ロシア語とウズベク語の両言語で講義がなされている。科学アカデミーの研究所では、研究者の専門分野や研究所によって日常使用言語に差があり、東洋学研究所と言語・文学研究所では日常的にウズベク語が使用され、歴史学研究所と芸術学研究所ではロシア語が多く使用される傾向がある。外国人留学生は、ロシア語だけを使用して日常生活や研究活動をおこなうことができるが、ウズベク語だけを使用して日常生活や研究活動をおこなうことはほとんど不可能である。ソ連時代に出版された研究書のほとんどはロシア語で書かれており、ロシア語の知識なしに研究活動をおこなうことはできない。独立語、ほとんどの書籍がウズベク語で出版されるようになったが、経済的な理由による出版事情の悪化により学術的な研究書はあまり出版されていない。

 ウズベキスタンでは、一般に英語がまったく通用しない。英語が通用するのは、最近大学で教育を受けた一部の若い世代の人々だけであり、研究者でも英語を解さないのが普通である。

(2004年4月寄稿)