イスラエル
在日公館
イスラエル大使館
Embassy of Israel in Japan
連絡先
〒102‐0084 千代田区二番町3  Tel: 03-3264‐0911
URL
http://tokyo.mfa.gov.il/mfm/web/main/missionhome.asp?MissionID=43&
    
イスラエルおすすめ関連情報
 
・イスラエル政府  Israel eGovernment
・イスラエル教育省  Ministry of Education,Culture and Sport
・図書館  Jewish National and University Library
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在外公館
Israel Embassy of Japan
連絡先
Asia House, 4, Weizman Street, 64 239 Tel-Aviv, Israel  Tel: (972-3) 695-7292  Fax: (972-3) 691-0516
URL
http://www.israel.emb-japan.go.jp/

アジア留学ガイド『イスラエル編』
(文責:小田島 直矢/ 情報提供者:大原 由美〔Hebrew University of Jerusalem〕)
  
 本ガイドが読者として想定しているのは、イスラエルへの留学未経験者、つまりこれから始めて当地に留学しようと考えている方々である。ここに掲載した情報の主な対象となる留学は(1)ヘブライ語の習得を目的とした語学留学(2)現地の大学において学部・修士課程に相当する授業を一定期間聴講することを目的とした留学、である。これらの留学については、基本的な情報を網羅した信頼できる案内がインターネット上に既に存在する。以下のリンク先のサイトをまず参照して頂きたい;

在日イスラエル大使館
http://tokyo.mfa.gov.il/mfm/web/main/missionhome.asp?MissionID=43&

同大使館広報室 学術関係(留学関連)


 本ガイドは、上記サイトの掲載情報を補足する目的で、筆者が2000年8月〜2002年11月の期間にヘブライ大学ロスバーグ・インターナショナルスクールに留学した経験から知り得た情報を中心に記載したものである。なお筆者が留学を終えて帰国してから一年近く経過しているため、筆者の記憶を頼りにした曖昧な情報を現時点(2003年8月)での正確な事実と逐一確認・照合する必要が生じた。このために、現在ヘブライ大学大学院に在学中の大原由美さんに現地の関連機関などに直接問合せて頂いた。あわせて感謝申し上げたい。

▼留学の目的
(1) ヘブライ語の習得(語学学校・各大学のヘブライ語講座『ウルパン』)
『ウルパンUlpan』とは『ヘブライ語講座』を総称的に指示するヘブライ語の名詞である。ウルパンは大学や私立の語学学校などの各種教育機関およびキブツなどの各施設に設置・開講されている。ウルパンの受講資格は厳密に問われない。大学・語学学校ともに授業料さえ支払えば誰にでもウルパンの受講を許可している。コースは学力に応じて初級〜上級の各段階から編成されている。コース内容・カリキュラムはウルパンごとに異なるが、1コースの開講期間はいずれのウルパンにおいても約2〜3ヶ月程度である。各コースの修了は進級試験によって客観的に審査する。
ウルパンには各機関・施設に応じて独特の傾向が見られる。私立の語学学校は会話能力の向上に目標を絞った授業を行う一方、大学のウルパンは会話能力に止まらず文章の読解・作文など含めて『国語』としてのヘブライ語能力の習得を目指す傾向がある。授業料は、大学のウルパンのほうが私立の語学学校よりも高額である。

(2) 専攻学問分野の学習・研究(学部・修士課程)
イスラエルの多くの大学・大学院は、一般のイスラエル人学生を対象にヘブライ語で授業を行う『本科』の他に、世界各国からの留学生を対象にして英語(一部仏語)で授業を行う『留学生別科』を併設している。初めて留学を経験する者にとって、本科の授業に出席して専門科目をヘブライ語で学ぼうとしても、講義の内容を十分理解できるようになるまでには相当時間がかかる。留学生別科ではヘブライ語の授業(『ウルパン』)も開講しているので、ヘブライ語能力を授業で向上させながら、英語で専門科目の勉強を進めることが可能である。以下は筆者が留学したヘブライ大学の留学生別科に相当するロスバーグ・インターナショナルスクールの授業体制についての説明である;
当スクールは学部および修士課程レベルに対応した授業を行っている。博士課程に相当する授業・カリキュラムは設置していない。通年コース・一学期だけのコース・夏季・冬季の集中コースと様々なコースがあるので、日程と費用の都合に合わせて各自で最適なコースを選択すればよい。当スクールの売りは、独自に修士号を与えるプログラム(M.A.Programs Taught in English)を有することであろう。当プログラムには以下の六つの専攻分野別コースがある;Jewish Civilization/ Jewish Education/ The Bible & Its World/ Religious Studies/ Islamic &Middle Eastern Studies/ Israel Society。授業は秋と春の二学期制。ヘブライ語を必修科目に指定している。履修する授業は各自の選択となるが、各コースのアドバイザーと相談したうえで決定することもできる。大きな特色として、専門研究はゼミナール方式ではなく、教師と一対一のチュートリアル方式(一年目:60分/週・二年目:120分/2週)で行う。各専攻分野の研究方法・方向性について教師が具体的に指南するワークショップも準備されている。

<主な大学の海外留学生Overseas Students向けコースのホームページ>

ヘブライ大学Rothberg International School
http://overseas.huji.ac.il
テルアビブ大学The Lowry School for Overseas Students
http://www.tau.ac.il/overseas/frameset.html
ベングリオン大学
http://www.bgu.ac.il/html/overseas_students.html
ハイファ大学
http://overseas.haifa.ac.il/

▼授業料
注意すべきは本科と留学生別科との授業料の格差である。留学生別科の授業料は本科に比べると約三倍と非常に高額である。下の表はヘブライ大学の各課程における年間授業料(2003年度)を本科と留学生別科とで比較対照したものである。
イスラエルの通貨はシェケルNIS(New Israeli Shekel)。日本円との為替レートは2003年8月18日現在NIS 1≒27円/ 100円≒NIS 3.7126。
最新の為替相場は以下のサイトを参照;
Bank of Israel http://www.bankisrael.gov.il/eng.shearim/index.php
fxtop.com通貨換算機能システム http://fxtop.com/jp/cnv.htm

ヘブライ大学 本科 留学生別科(Rothberg International School)
学部

NIS 11.585(312.795)

$ 7.900(948.000)
修士 NIS 11.585(312.795) $ 7.200(864.000)
博士12年次 NIS 4.883(131.841)  
3年次以降 NIS 1.117(30.159)  
*NIS127円 $1120円で計算


▼奨学金
日本の省庁・自治体・財団・民間企業等が公募する奨学金については各自で調べて頂きたい。
イスラエル側が募集するものとしては『イスラエル政府奨学生』と『高等教育委員会奨学生』とがある。以上二つの奨学生の募集は例年10~11月頃に始まるが、募集開始日と募集締め切り日との期間が非常に短い年もあったので正式に募集が通知される以前から予め提出書類を準備しておきたい。
その他にイスラエルの各大学も独自に奨学生を募集している。各大学のホームページには必ず奨学生Scholarshipsの案内がある。各奨学生の募集要項は、案内を掲載したホームページからダウン・ロードできる場合がある。ヘブライ大学ロスバーグ・インターナショナルスクールの例;http://overseas.huji.ac.il/financial_aid.asp

▼志望校への出願とビザの取得手続き
(1)志望校への出願Application
出願手続きについては各大学のホームページ、特に『入学者の選抜Admissions』の項目に出願方法についての詳しい案内が掲載されている。『受験要項および願書Application Guideline & Form』は、該当するホームページからダウン・ロードできる場合が多い。大学側指定の以上の願書と必要書類一式を揃えたうえで、締め切り期限までに該当する宛先へ郵送すれば出願は完了である。(日本からイスラエルまで郵送にかかる時間は、郵便局のEMS(国際スピード郵便)またはFedexなどの民間の国際運送会社、ともに約1週間から2週間。)提出した書類が受理されて入学が許可された場合、自宅に入学許可を通知する旨の封書が大学から届けられる。以下出願方法についてヘブライ大学ロスバーグ・インターナショナルスクールの例;http://overseas.huji.ac.il/how_to_apply.asp

(2)ビザの取得
イスラエル入国のために必要なビザは、滞在の目的・期間に応じて次のように類型化されている;Transit Visas/Visit Visas(B1-B4)/Temporary Residence Visas(A1-A5)/Permanent Residence Visas。
イスラエル政府は、日本国籍を有する者に対して、上記の各種ビザの取得を大幅に免除している。観光等を目的とした3ヶ月以内の滞在であれば入国のために予めビザを取得する必要は無い。イスラエル入国の際に空港でパスポートに押される入国スタンプが3ヶ月間有効のビザに相当するものと認められる。このため、出国して入国するたびに毎回ビザを更新することになるので、滞在期限の3ヶ月が満了する頃に近隣諸国に出かけてすぐに戻るという方法で滞在許可の失効を避ける人が多い。しかしこの方法は度重なるとセキュリティ当局から怪しまれて再入国を拒否されかねない。
3ヶ月を超える留学を予定している方は、必要なビザを取得しなければならない。その場合は、上記のビザ類型のうちTemporary Residence VisasのなかのA2 Visaを取得することになる。このA2 Visaは、国内の教育機関に在籍して勉強することを目的とする個人に対して発効されるビザである(俗に言う『学生ビザStudent Visa』にあたる)。A2 Visa取得には、留学先となる教育機関へ入学が許可されたことを証明する文書が必要となる他に、各自の銀行口座の預金残高証明書の提出も求められるだろう。更なる詳細については、出願した志望校から合格通知を受け取り次第、在日イスラエル大使館に各自で問合せて頂きたい。なお現地においてもビザは取得できるが、ビザがあれば空港での入国審査の際に有力な身分証明となることから、できるだけ日本出発前に取得することをお勧めする。現地でのビザの取得・延長手続きは次の機関が管轄している;
ミスラド・ハ・プニーム Ministry of Interior  
1 Shlomzion Hamalka Street Jerusalem 94166 
電話02-629-0239/0232 *事前に訪問目的を伝えて予約が必要とのこと。

▼生活情報
(1)住む場所
各大学にはたいてい学生寮が付設されている。学生寮へ入居する際に多くの留学生にとって懸念となるのは、一般的に個室が準備されていないということである。例えばヘブライ大学の学生寮(イデルソン寮)では、学生二人につき一部屋、その部屋が二つにキッチン・トイレ・シャワー室からなる2DKのフラットを学生4人がシェアする方式が採られている。個室も準備されているが、部屋数が少ないうえに事前に予約が必要となるので、始めてイスラエルに来る学生が入居することは難しい。料金は次のサイトを参照;http://overseas.huji.ac.il/fees.asp
一般の住居については、大学や街角の掲示板に空き部屋・アパートの入居募集が常に貼ってあるので、こまめに確認して探す方法が一般的である。家賃の下限としては、一つのフラットを他の住人とシェアする場合は$200ぐらいから、一戸のフラットを借りる場合は$550ぐらいからが相場であろう。一般の住居に住んだ場合、月々の経費としては、家賃・水道・ガス・電気・建物維持費(建物によって徴収されない場合あり)、以上が考えられる。注意すべきは、上記の公共料金以外に、毎年一回『アルノナ』という税金を徴収されることである。アルノナは一般に市民税Municipal Taxと訳されるが、建物・家屋などの不動産を『用益した』対価として地方自治体が徴収する税金である。したがって当該物件を占有する住人が負担することになる。料金は各不動産の専有面積に応じて計算される。参考までに、2003年8月現在、エルサレム市が86uの1フラットに課したアルノナはNIS 4100(≒110.700円)である。(学生はアルノナ支払いを免除される制度があるとのこと。要確認。)

(2)現地の治安について
2000年9月に再燃したイスラエル・パレスティナ間の衝突(いわゆるアル・アクサー・インティファーダ)以来、現地ではイスラエル市民を標的にしたテロ事件が頻発している。『イスラエルは危険である』という判断は正当なものであり、現地に留学することはテロの被害に遭うリスクを当然負うことになる。しかしその一方で、テロは局所的なものであり、通常の市民生活を送るための安全と秩序は、市民に対して十分保証されているのも事実である。筆者が現地で生活した実感として、テロの被害に遭うというのは『交通事故に遭うよりは稀な経験』という印象を持っている。現地の日常において一部の過激派によるテロ行為は絶えざる脅威となっているのは確かであるが、新参者にとってはスーパーや大学の入り口でさえ行われる厳重なセキュリティ・チェックに直面するときのストレスのほうが深刻な脅威となるかもしれない。                                

 (以上)