シリア
在日公館
シリア・アラブ共和国大使館
Embassy of the Syrian Arab Republic in Japan
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在外公館
Syria Embassy of Japan
連絡先
No. 18 Al Mihdi Bin Baraka Street, Damascus, Syrian Arab Republic (B.P. 3366)
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シリア留学案内

1.はじめに

 正則アラビア語(フスハー)の習得に関していうならば、アラビア語学習者にとってシリアは最適の国であると言えるだろう。しかし、長期滞在するためにはシリア到着後に滞在許可証(通称イカーマ、al-iqama)を取得する必要性があり、この点に関して多少の煩雑さがある。語学学校などに入学すれば基本的に取得できるが、それ以外の方法ではほとんど不可能に近く、研究者として長期に滞在する場合は、ダマスカス所在のIFEAD/フランス・アラブ研究所(下記3.参照)の研究者受け入れに応募することが多い。これに関しては、同研究機関のホームページを参照されたい、→ www.lb.refer.org./ifead /仏語・英語。以上のような点から、ここでは滞在許可証の取得が最も簡単な語学学校留学を中心に紹介する。

2.出発準備:ビザの取得など

 シリアに入国する際には、在京のシリア大使館もしくは他国のシリア大使館でビザを取得しておく必要性がある。留学用のビザはないため、観光ビザで入国することとなる。入国可能回数一回のシングルと複数回のマルチプルがあり、シングルの場合、発行から3ヶ月有効で、マルチプルの場合、発行から6ヶ月有効であるが滞在期間はいずれも15日間である点に注意しなければならない。また、イスラエルに入国した記録がある場合、ビザは発給されない。

 15日以上滞在したい場合は、ダマスカスに到着してから入国管理局/入管(ダマスカス市内バラームケ、fur‘u al-hijra )に出向き、延長願いを申請する。申請に必要なものは以下の通り。申請用紙2枚、収入印紙、この2点は入管横の店で売られており、パスポートの関連ページのコピーもその店でコピーでき、加えて写真3枚を用意し、入管該当窓口でさらに申請用紙1枚を購入する。延長申請をする場合、申請した時点で滞在可能期間が再計算され、前回取得分が無効になる点に注意を要する。延長期間は必要性に応じて決まるため、係官に対して説得力ある説明をなければならない。語学学校などに通うことが決定した時点で滞在許可証取得のための申請をし、長期の滞在が可能となる。

 語学学校の入学や登録手続きはシリア国外からはできない点を、念のため指摘しておく。

3.現地の学校

3.1 語学学校

(1)ダマスカス大学語学センター内アラビア語コース
1990年代中頃から始まったダマスカス大学内にある語学センターで行うアラビア語のコース。ダマスカス大学のメッゼ・キャンパスにある。初級から上級までのコースがある。一学期が約2ヶ月で、年間6回ほど開校される。学費は一学期10000SL=約200ドル(初級)から15000SL(上級)で、授業はほとんどが午前中に行われるが、一部午後もある。大学の新学期は9月中旬であるが、アラビア語コースに関しては2003-04年度最初のコースは9月1日からとなっている。
連絡先:Arabic Language Center, Language Institute, Damascus University, Damascus, Syria
fax +963-11-212-0164, tel.+963-11-212-9494, e-mail; asp_sy@hotmail.com

(2)ATIF(通称):Arabic Teaching Institute for Non-Arabic Speakers
かつては名称がArabic Teaching Institute for Foreigners であったため、通称ATIF。1970年代から存在する教育省管轄の外国人向けアラビア語学校。開校期間は、10月1日から1月中旬、2月1日から5月中旬、7月1日から9月中旬となっており、各学期の学費はおよそ250ドル。授業は午前中に行われ、レベルは初歩から上級まである。各学期約150名から200名ほどの学生がいるが、学生の国籍はさまざま。教授陣は最低でもアラビア語(国語)の学士号取得者。
連絡先:P.O.Box 9340, Damasucs, Syria / fax. +963-11-611-9453 / tel. +963-11-613-2646

(3)IFEAD:Institut francais pour des Etudes Arabes de Damas
フランス政府の管轄下にある研究所で、アラビア語研修コースを持っている。初級コースはなく、基本的に研究者やそれに準ずる資格を持つ人のためのアラビア語研修所といえる。詳細は上記で紹介したホームページを参照。

3.2 高等教育機関

 ダマスカス大学などでは留学生を聴講生(talib mustami‘u)として受け入れているため、この制度を利用することも可能である。ちなみに2003年度前期の手続きは9月15日からで、それから一ヶ月ほどは手続きが可能らしい。まず初めに、バラームケ・キャンパスにある学生課(shu‘un al-tullab)で手続きし、次に聴講を希望する学部で残りの手続きを行うが、さらに必要なサインを得るために様々な部署を回ることもありうる。授業はあくまでシリア人向けであるため、アラビア語能力や予備知識の不足を感じる場合、選択肢として適しているとはいえないだろう。

3.3 その他

 ダマスカス市内にあるアブーヌール・モスクにはコーランやイスラーム研究の講座があり、外国人ムスリムも受け入れている。詳細はホームページ参照。www.abunour.net (英語ページあり。)

4.学校登録の際に必要な主な書類

 語学学校でも大学の聴講生でも登録の際に必要な書類はほぼ同じである。ここでは最低限共通しているものを列挙する。(1)領事の紹介状(現地の日本大使館に申請)、(2)最終学歴の証明書(高校卒業証明以上のもの)、(3)パスポートのコピー、(4)パスポートサイズのカラー写真多数、(5)エイズ検査の結果(市内zablatani にある通称markaz al-izで行う)。(5)のエイズ検査は長期滞在の外国人すべてに課されており、語学学校や大学の聴講生手続きをする学生は、各々の学校から検査の無料チケットを得ることができる。また、英語の書類にはアラビア語訳を付けることが多いが、翻訳が必要な場合は、市内に公認翻訳(tarjama mu‘utamida)者のいる翻訳会社が多くあり、それらを利用する。

5.滞在許可証の取得

 語学学校入学や聴講生登録などの手続き後に、受け入れ機関に受け入れ受諾書を作成してもらい、必要な書類(受け入れ受諾書や領事の紹介状、エイズ検査の結果、写真など)を用意し、滞在期間延長の際と同じ申請書や収入印紙(イカーマの場合30SP)などを入管横の店でさらに用意し、入管該当窓口に個別に申請することとなる。滞在許可証の有効期間は受け入れ機関により異なるが、通常半年であることが多く、また、滞在許可証自体の出来上がりは一ヶ月後と言われることが多い。滞在許可証を得た場合、出国する際に出国ビザが必要となり、再入国に入国ビザが必要となる。これらも入管に申請する。

6.その他の注意する点

(1)送金事情
滞在許可証を取得すれば、Commercial Bank of Syria に送金用の口座を開くこともできるが、現在では、海外対応のキャッシュカード(シティーバンクなど)やクレジットカード(VISAなど)で必要なお金を引き下ろすこともできるようになり、送金事情は改善されつつある。

(2)通信事情
郵便物に関しては、留学生は日本大使館の私書箱を使用させてもらっている場合が多い。小包などの引き取りは基本的に郵便局で行われ、受け取る際に関税を払う必要性があるものが入っている場合、必要な額をその場で支払うこととなる。また、現在では、国際電話や携帯電話、インターネットなども比較的簡単に利用できるようになったが、あくまで基本的な使用環境にとどまっている。

(情報は2003年8月末現在)