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 日本国内におけるアジア研究の動向をご紹介します。長期または短期の研究動向レビュー、出版物や展示会の紹介、執筆者自身の新しい研究課題、資料や調査方法に関する議論などを随時掲載します。



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エッセイ:歴史
近現代中国の憲政問題と国際情勢

中村 元哉(11/02/01)

革命・戦争・社会主義・ナショナリズムの歴史として理解されがちな中国近現代史において、なぜ憲政問題が清末から現在まで主要な争点であり続けているのか。中国を取り巻く国際情勢をも視野に入れながら、近現代中国の憲政問題を考える。
太湖流域の農漁村と歴史学──ヒアリングから明らかにする「非文献」の世界 太田出
(08/02/06)
中国江蘇省・浙江省・上海市に跨る太湖流域、特に汾湖周辺の呉江市・嘉善県・青浦区の農漁村において、ヒアリングを通して観察しえた汾湖周辺の農漁村について文献史料には登場しない「非文献」の世界を中心に素描する。
日韓音楽関係史にみるポストコロニアリズム −日本での鄭京和− 藤井 浩基
(07/04/03
韓国人バイオリニスト鄭京和は、常にサイード的なオリエンタリズムや韓国人のエスニシティと対峙しなくてはならなかった。戦後、ポストコロニアリズムのなかで、鄭京和をめぐる日本での批評を軸に韓国人と音楽を結びつける言説の傾向に迫る。
アジア伝統医学史の研究方法をめぐって 帆刈浩之
(06/02/15)
グロバリゼーションの名のもと、地域固有の伝統知識が囲い込まれる中、アジアの伝統医学の制度化は歴史的に何を意味するのか。伝統科学と近代科学の諸学問を同カテゴリーとしてではなく、固有の歴史的展開をふまえ多様なアプローチから検討する必要性を説く。
現地を歩いて気付くこと 榎本 渉
(05/12/28)
日本の港町を歩いて気付いた「唐船島」の地名と、そこにまつわる伝承。「唐船島」が前近代の国際貿易港の周辺に分布する事実を紹介する。
日本と東南アジアの戦後史 ―新たな視点から― 保城広至
(05/02/25)
敗戦後、日本は東南アジアをどのように捉え、どのようにして関係を取り戻していったのか?戦後から1970年代にかけての日本による東南アジア外交の歴史を、論争になると思われる仮説や提言も盛り込み、通説とは違った視点で論じる。
古代チベットと敦煌−チベット史・敦煌史における古
チベット語文書の利用−
岩尾一史
(05/02/09)
敦煌古チベット語文書群は、古代チベット史、敦煌史の両方にとって質量ともに第一級の史料群である。それにも拘らず、多くの文書が未読のままに置かれているのは何故か?研究史上の問題を考察し、あわせて変わりつつある古チベット語文書の史料状況を紹介する。
近代中国の地方文献についての覚書 佐藤仁史
(04/12/10)
清末民国期の江南の出版文化はその地域社会の自己主張の手段とも見受けられる。それは、こうした地方文献の背景は在地の指導層の動きと密接な関係していたからである。今回、資料調査にて見つけた資料を紹介し、地方文献の利用価値と注意点を解説する。
インド・グジャラート地方の近代史研究―1990年代以降の研究動向を中心に―
井坂理穂
(04/10/04)
インド西部のグジャラート州は、ヒンドゥー・ナショナリズムの動きなどが背景となって、近年大きな関心を呼んでいる。ここでは1990年代以降のグジャラート研究、特に植民地期を中心とした近代史研究の動向を紹介し、今後の課題を検討する。
ポルトガル関係史料によるインド史研究入門 真下裕之
(04/04/27)
15世紀末から16世紀にかけて環インド洋地域を訪れたポルトガル人は、インド社会の動態を克明に写し取り、大量の記録を残している。本稿は、ムスリム支配時代のインド史研究にポルトガル関係史料を役立てるための実用的入門書である。
ある一人の入宋僧 榎本 渉
(03/11/18)
入宋日本僧とされている白蓮社に関係する史料を考察し、白蓮社入宋説が誤説である可能性が高いことを指摘。徹底した史料採集・整理によって、入宋僧に関する通説の再検討が必要かつ可能であることを暗示。
漢籍電子検索の普及と中国前近代史研究 青木 敦
(03/10/22)
台湾中央研究院を事例に漢籍の急速な電子化状況を紹介。そして電子化がもたらした影響を確認したうえで、研究・大学教育における利用上の利点・注意点を指摘。
中国史への内在的研究姿勢と外在的研究姿勢 青木 敦
(03/11/12)
中国史研究において、中国文化に即した(内在的)研究姿勢と、外部の要素に目を向ける(外在的)研究姿勢のそれぞれの効用及び限界を指摘し、両者のバランスをとることの重要性を説く。
台湾における日本殖民時代の蔵書と日本のアジア研究 王 詩倫
(03/10/14)
台湾の日本植民地時代の統治主体である総督府の資料、また総督府及び関係者によって集められた書籍・資料が現在所蔵されている機関の紹介。アジア研究という視野からそれら資料の利用価値及び可能性を探る。
東地中海のイスラーム・西欧史料をめぐって 堀井 優
(03/10/14)
中東・ヨーロッパ間の異文化接触の現場から生み出された史料には、研究上いかなる価値があり、またどのような限界があるだろうか。16世紀前半のオスマン朝、マムルーク朝、ヴェネィアの史料を例に考える。