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 日本国内におけるアジア研究の動向をご紹介します。長期または短期の研究動向レビュー、出版物や展示会の紹介、執筆者自身の新しい研究課題、資料や調査方法に関する議論などを随時掲載します。



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エッセイ:文化人類学・宗教学
ポスト・スハルト期の国家法と慣習(法)への人類学的アプローチ

高野さやか

(08/02/06)

2008年1月27日、スハルト元大統領の訃報が全世界に伝えられた。在任中には強固な中央集権体制が築き上げられたもののそのひずみは、90年代に入り経済不安や民主化を求める暴動となって現れ、政権が崩壊すると一転して急激な地方分権化の動きが起き、社会のさまざまな領域に大きな影響を及ぼしつつある
日韓音楽関係史にみるポストコロニアリズム −日本での鄭京和− 藤井 浩基
(07/04/03)
韓国人バイオリニスト鄭京和は、常にサイード的なオリエンタリズムや韓国人のエスニシティと対峙しなくてはならなかった。戦後、ポストコロニアリズムのなかで、鄭京和をめぐる日本での批評を軸に朝鮮人と音楽を結びつける言説の傾向に迫る。
ベトナムの今―「南学日本語クラス」から思うこと― 田中健郎
(07/03/23)
2年間の留学を終えたばかりの筆者が、「南学日本語クラス」の歴史と学生達の様子から「ベトナムの今」の一面を紹介する。学生の間の「現代っ子」と「新時代人」という対比が現在の社会変化を象徴している。
2004年インド洋大津波後のタイ南部を歩く 市野澤潤平
(06/01/05)
004年のインド洋大津波は、タイ南部においても甚大な被害をもたらした。人材不足の中、タイの国際観光の研究者である筆者が要請を受け、津波の被災状況の視察に向かった。災害研究の門外漢が見た被災地の記録。
アジア伝統医学史の研究方法をめぐって 帆刈浩之
(06/02/15)
グロバリゼーションの名のもと、地域固有の伝統知識が囲い込まれる中、アジアの伝統医学の制度化は歴史的に何を意味するのか。伝統科学と近代科学の諸学問を同カテゴリーとしてではなく、固有の歴史的展開をふまえ多様なアプローチから検討する必要性を説く。
「38度線」以北のフィールドワーク─韓国村落の過去と現在― 中野 泰
(05/12/21)
エスノグラファーは、フィールドに生起する微妙なひだや大きなうねりを、いかにして捉えることができるか。彼らの些細な会話や事件に身を投じつつ、韓国北東部の村落を舞台に、交差する過去と現在の意味を問う。
チベット高原学会の会場外にみるチベット社会の素顔 シンジルト
(04/10/01)
この夏、ラサで開かれた国際シンポジウムに参加したモンゴル人の著者が、観光化の進む寺院の僧侶や、エクスカーションに雇われた車の運転手など、そこで出会ったチベット人と、チベットの社会的現実について語る。
文理融合型研究プロジェクトと文化人類学者 尾崎孝宏
(04/07/02)
近年、若手研究者も参加する機会が増えてきた文理融合型プロジェクトに文化人類学者が参加する場合にぶつかる困難とその克服案について、中国乾燥域で現在実施中の「オアシスプロジェクト」を例として紹介する。
世界で一番贅沢な紙 ―南屏紙― 菅 豊
(04/06/16)
中国・淅江省温州市の山奥では、今なお伝統的な製法による紙漉きが行われている。山野で伐採した竹を原料とし、半年以上の年月と幾段階もの複雑な工程を経て作られる、いわば世界で一番贅沢な紙、その用途は…
シャン仏教研究の意義―東南アジア上座仏教研究における新たな可能性 村上忠良
(04/03/24)
東南アジア大陸部の国境を越えた上座仏教ネットワークを研究する上で、欠かすことのできないシャン仏教の研究が近年本格化し始めている。その研究の意義と今後の可能性を紹介する。
博物館コレクションをコレクションする 田口理恵
(04/03/18)
モノに刻まれた多様な履歴を手がかりにモノデータベースを構築し、フィールドワークツールとして活用していく可能性を追求。国内博物館所蔵資料から、いかにしてモノデータベースを構築していくのか、古くて新しい手法による挑戦が始まっている。
現代イスラームへの視点−原理主義とスーフィズム 赤堀雅幸
(03/10/14)
近年、人類学を含めた現代イスラーム研究の中心的課題であった「原理主義」に関する共通理解と、これを相対化し、さらに総合的なイスラームの現代像を模索するためのスーフィズム研究の可能性。