公募研究の採用実績

平成24年度東洋学研究情報センター共同研究課題採択一覧

  1. 日本漢籍集散の文化史的研究-「図書寮文庫」を対象とする通時的蔵書研究の試み-
  2. チベット美術の情報プラットフォームの構築と公開
  3. 関野貞による東アジア文財写真の整理と分析
  4. 新しいアジア像構築の試み:アジア・バロメーターの再分析プロジェクト

日本漢籍集散の文化史的研究-「図書寮文庫」を対象とする通時的蔵書研究の試み-

研究者

  • 慶応義塾大学附属研究所斯道文庫・准教授 住吉 朋彦(申請者)
  • 京都大学人文科学研究所・教授 金 文京
  • 慶応義塾大学文学部・教授 佐藤 道生
  • 慶応義塾大学附属研究所斯道文庫・教授 髙橋 智
  • 慶応義塾大学附属研究所斯道文庫・教授 堀川 貴司
  • 国文学研究資料館・准教授 陳 捷
  • 国立歴史民俗博物館・准教授 小倉 慈司
  • 東京大学東洋文化研究所東アジア第二研究部門・教授 大木 康

研究期間

2年

課題の概要

  本研究では宮内庁書陵部に収蔵する「図書寮文庫」中の漢籍を対象とし、日本伝来漢籍(以下「日本漢籍」と簡称)を要素とする蔵書群の形成と変転の過程を確かめ、蔵書研究の視点に立って、個別の伝本の文化史的意義を捉え直し、日本文化形成に対する日本漢籍の寄与を明らかにする。
  図書寮文庫は、書陵部収蔵資料中の、公文書を除いた図書群であり、従来書陵部本と称する範囲にほぼ等しい。その中には公武の伝世資料を含み、特に江戸幕府紅葉山文庫本から明治期に抜き出された善本群には、中世以来の金沢文庫本、東福寺普門院蔵書といった、日本漢籍史上、最重要の蔵書に由来する資料を含む他、近世の江戸幕府や、高知山内家、徳山毛利家、佐伯毛利家等の好学の大名、幕府儒官の古賀家献納資料に、御所や宮家、公家の伝本をも加え、日本漢籍史の屋台骨と見るべき、複合的蔵書群である。
  図書寮文庫本の書誌学的研究は目録解題の整備を中心に行われてきたが、1953年に刊行された『和漢図書分類目録』より68年を経て、各方面の研究も進捗し、内外の資料との比較研究の便宜は格段に向上した。そこでこの度は、伝本に対する基礎認識の再検討から始め、伝来過程とその脈絡に重点を置いた調査を加え、蔵書史という視座から、その意義を文化史的に総合することを課題とする。

チベット美術の情報プラットフォームの構築と公開

研究者

  • 金沢大学・教授 森 雅秀(申請者)
  • 金沢大学・准教授 高田 良宏
  • 高野山大学・教授 乾 仁志
  • 鶴見大学・教授 矢島 道彦
  • 東京外国語大学・教授 高島 淳
  • 人文情報学研究所・所長 永﨑 研宣
  • 人文情報学研究所・研究員 苫米地 等流
  • 東京大学東洋文化研究所南アジア研究部門・教授 永ノ尾 信悟
  • 東京大学東洋文化研究所南アジア研究部門・准教授 馬場 紀寿

研究期間

2年

課題の概要

  東洋学、さらには人文学における非文献リポジトリ開発のモデルケースとして、仏教美術を中心としたチベット美術の情報プラットフォームの整備と公開を行う。わが国の諸研究機関に所蔵されているチベット美術の画像データを整理・統合し、インターネット上で公開するための統一的フォーマットを開発する。チベット美術の主要なジャンルである絵画、彫刻、工芸、壁画、建築などに関する画像データを中心に、作品そのものの基礎的情報、関連するテキストの文字情報、書誌情報、地理的情報などをリンクさせ、全体を一元的に扱う情報プラットフォームを構築し、非文献リポジトリの国際的な標準としての普及をはかる。画像資料を中心に仏教学、美術史、建築史学、民俗学、宗教学、歴史学などのさまざまな分野の成果を統合することで、総合的なチベット仏教美術の研究基盤を確立させるとともに、人文科学における情報の整理、統合、発信にかかわる基本的なモデルを提供する。さらに、国内の大学に附置されているインド学仏教学関係の研究機関を横断的に連携させることで、それぞれが所有する貴重な研究資料やデータの共有と有効な活用、設備・備品の効果的な導入、人材の活用や合理化を進め、さまざまな分野での連携・活性化を将来的に可能とする。

関野貞による東アジア文財写真の整理と分析

研究者

  • 東京大学大学院工学系研究科・教授 藤井恵介(申請者)
  • 東京大学大学院工学系研究科・助教授 加藤 耕一
  • 東京大学大学院工学系研究科・技術専門職員 角田真弓
  • 東洋文化研究所東アジア第一研究部門・教授 平勢隆郎
  • 東洋文化研究所画像技術室・技術専門職員 野久保雅嗣

研究期間

2年(最終年度)

課題の概要

  東京大学東洋文化研究所には、戦前の関野貞による中国大陸調査に関わる写真資料が大量に存在する。アルバムに整理されたものだけでも3,019点を数える。これらは、現在人間文化研究機構と東洋文化研究所が共同で実施している「近代日本文化財保護政策関係在外資料の調査と研究」による整理が進んでいる。
  これに対し、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻にも、大量の関野貞による中国大陸の文化財を撮影した写真資料が存在する。キャビネ版焼付けが約1,000点、ガラス乾板が約4,000点ある。ガラス乾板は、上記の共同研究においてデジタル化を進めつつある。
  ところが、いわゆるネガの形で存在する古写真資料は、デジタル化を進めると同時に、焼付け写真の状態で情報を確定し、長期保存に耐えるようにする必要がある。そして、それを研究者に提供し得る形にしておくのが、本来のあり方である。
  そこで、本研究は、上記共同研究と連携しながら、整理の成果を焼き付け写真と関連づけて、その分析を進めるものである。

新しいアジア像構築の試み:アジア・バロメーターの再分析プロジェクト

研究者

  • 新潟大学経済学部・准教授 岸保行(申請者)
  • 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科・助教 鴨川明子
  • ハワイ大学マノア校社会学部・准教授 中嶋聖雄
  • 中央研究院社会学研究所・助研究員 李宗榮
  • 高麗大学校ビジネススクール・助教授 Fabian J.Froese
  • 東洋文化研究所附属東洋学研究情報センター・副センター長、教授 園田茂人

研究期間

2年(最終年度)

課題の概要

  東洋学研究情報センターでは、猪口孝教授を中心に、2003年から2008年までの6年間、アジア・バロメーターという名のアジア全域(東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア)を対象とした調査を実施してきた。2009年度には、各年度で異なるスキームで実施されたデータが統合データファイルとしてまとめられ、徐々に、このデータをもとにした仮説検証型の実証研究が進められつつある。もっとも、これらのほとんどは従来のディシプリンの思考枠組みにとらわれており、アジア研究の新地平を切り開くには至っていない。そこで本プロジェクトでは、従来、アジアを語る際に用いられてきたいくつかの理論的・理念的枠組みを脱/再構築することを試みる。
  たとえば、1980年代後半の儒教資本主義論が華やかなりし頃、東アジアにおける発展の説明原理として「集団主義」「教育重視」「勤労重視」「家族主義」といったいくつかのキーワードが用いられてきたが、これらが実証的に検討されてきたとはいいがたい。その点、アジア・バロメーターには、これらの概念を操作的に定義した質問群が複数時点で用意されているため、これらの変数を軸にした時系列的・比較横断的分析が可能となっている。
  勤労意識(岸)、宗教と経済行為(Froese)、教育アスピレーション(鴨川)、文化とアイデンティティ(中嶋)、市民社会と家族主義(李)、革新的比較研究(園田)といったキーワードで研究を進めている研究者を糾合し、新しいアジア像の構築を目指したい。

平成23年度東洋学研究情報センター共同研究課題採択一覧

平成22年度東洋学研究情報センター共同研究課題採択一覧