1930年代前半に、東方文化学院による中国大陸の文物調査が関野貞とその助手竹島卓一らによって行われた。東京国立博物館(以下「東博」)では、2012年度に竹島の遺族から、竹島が保管整理していた当該調査の焼付写真約4400枚の寄贈を受けたことから、平成25年度に東洋文化研究所との共同研究の採択を受けて、東洋文化研究所が所蔵する同調査の写真と東博へ寄贈された写真との照合を行い、その全貌についての把握を進めてきた。
その結果、両者の間で重複する写真が多くある一方で、竹島が独自に撮影・保管していた写真もかなりの数含まれており、これらの写真は関野・竹島等による調査の詳細を研究する上で、貴重な資料となることが見込まれることが明らかとなった。調査成果の一部については、関野貞プロジェクト 国際会議「龍門石窟と関野貞」(平成25年8月27日、法政大学)で報告され、また平勢隆郎「関野貞大陸調査と古写真」(『明日の東洋学』no.30、2013年10月)においても言及されている。
今回は、上記において明らかにされた情報をも加えて、竹島写真作成の経緯について可能な限り新情報を付与したい。東文研・「東博」以外の資料にも手を広げて検討することを考慮し、あらためて1年間の申請をお願いすることにした。