東京大学東洋文化研究所には、戦前の関野貞による中国大陸調査に関わる写真資料が大量に存在する。アルバムに整理されたものだけでも3,019点を数える。これらは、現在人間文化研究機構と東洋文化研究所が共同で実施している「近代日本文化財保護政策関係在外資料の調査と研究」による整理が進んでいる。
これに対し、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻にも、大量の関野貞による中国大陸の文化財を撮影した写真資料が存在する。キャビネ版焼付けが約1,000点、ガラス乾板が約4,000点ある。ガラス乾板は、上記の共同研究においてデジタル化を進めつつある。
ところが、いわゆるネガの形で存在する古写真資料は、デジタル化を進めると同時に、焼付け写真の状態で情報を確定し、長期保存に耐えるようにする必要がある。そして、それを研究者に提供し得る形にしておくのが、本来のあり方である。
そこで、本研究は、上記共同研究と連携しながら、整理の成果を焼き付け写真と関連づけて、その分析を進めるものである。