公募研究の成果公開

国際的な米価高騰とインドシナ半島の稲作の変容に関する農業経済史

研究者

  • 東京外国語大学大学院総合国際学研究院・准教授 宮田敏之(申請者)
  • 敬愛大学国際学部・教授 高田洋子
  • 東洋文化研究所南アジア研究部門・教授 高橋昭雄

研究期間

2年 (平成22~23年度)

課題の概要

2008年、世界的に米価が急騰し、国際米市場は大きく混乱した。その背景としては、原油価格の上昇、地球温暖化による気候変動、バイオエネルギー用穀物栽培の拡大による食用穀物の 不足など、長期的な要因があった。しかし、直接的には、主要米輸出国であるインドやベトナムが、天候不順やコメの国内流通の問題等により、米の輸出を規制し、これが、混乱の引き金となっ た。他方、フィリピンやエジプトなどの米輸入国では、輸入米不足への不安が広がって、米価が上昇し、社会不安も増大した。国際米市場が、極めて不安定な均衡の上に成り立っていたことが、 明らかとなった。本研究は、こうした不安定な国際米市場の中で、世界有数の稲作地域であり、かつ、主要米輸出地域でもあるインドシナ半島において、どのような変化が起きているのか?につ>いて、農業経済史の立場から分析する。特に、米輸出価格が急騰した、米輸出世界第一位のタイ、90年代に急速に生産が回復して米輸出が復活したが、米輸出規制に踏み切らざるをえなかったベ トナム、サイクロンによる被害から回復を目指すミャンマーを研究対象とする。第二次世界大戦後、これら三カ国の稲作と米輸出の歴史は、大きく異なる。しかし、インドシナ三大デルタの稲作 地帯は、今後も、主要な米輸出地域として、国際米市場の中長期的な安定に重要な役割を果たすことが期待される。そこで、本研究は、第二次世界大戦後から2000年代に至る、およそ半世紀にわ たるタイ、ベトナム、ミャンマーの稲作、米価格、米輸出経済の歴史的変化を踏まえ、現状と今後の課題を比較検証する。

研究成果

研究成果報告書(PDF: 1.4MB)


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