傅增湘先生逝世六十周年紀念展

第Ⅰ類 ガラス展示台実物展示

雙鑑樓善本書目四卷(本所図書室請求記号:「史部/目錄/經籍84.10」)

1929年傅氏家刻本
所蔵家としての傅增湘の姿を伝える代表的目録。 傅增湘は、近代の蔵書家として膨大な経籍版本を所蔵したが、その目的は読書に在り、単なる骨董家とは異なった。よりよく読書する為に、大量に良質の版本を手にする必要が有った傅增湘は、高価な善本を大量に購入する一方、必要に応じてそれらを手放すことによって、次々と新たに他の善本を手に入れていった。それが、この目録に登録されている善本書が本所にも所蔵されている理由でもある。

藏園群書題記第三集(本所図書室請求記号:「史部/目錄/經籍84.10」)

1933年天津大公報出版部出版
版本目録学者としての傅增湘の最重要著作。
初め単篇の解題が天津の新聞『大公報』に連載され、それを本にまとめた出版物が複数種有り、本書はその中の一つ。それら各種をまとめて整理したものが、1989年に上海古籍出版社から同名で出版されている。

太宗皇帝實錄殘二十卷(本所図書室請求記号:「史部/編年/61」)

1936年跋傅氏家刻本
傅增湘が抄本で伝わる残巻を基に校訂出版したもの。
傅增湘は希少な版本資料を重視したが、それを収蔵することに喜びを感じていただけではなく、その生涯を通じて、希少版本の文字を書き写し、対校して校勘することに大量の時間と精力を注ぎ続けた。傅增湘が校勘した典籍の量は、八千巻に上ると言われる。本書は、その成果の一つを自ら出版したもの。

周易正義(本所図書室請求記号:「経部/易/4.3」)

1935年北京人文科学研究所影印本
傅增湘が購入した現存唯一の宋代版本を影印したもの。
定価が高くなってしまったが、製作部数は二百部で、その中半分は関係者に贈呈しなければならないから自己負担となり、残りが全て売れて、ようやく元が採れるかどうかだ、と傅增湘自ら友人に宛てた書簡の中で述べている。書簡によれば、友人を介して日本で印刷させた、とあるが、版元は北京人文科学研究所となっている。北京人文科学研究所は、日本帝国主義が義和団事件賠償金で作った機構であったが、このころには経費も殆ど無く、橋川時雄氏個人の力で経営されていたらしい。傅增湘が友人というのは橋川氏であった可能性が高い。当時、コロタイプで精巧な影印本を作るには、京都の小林氏に委託するしかない、というのが常識であった。

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