前 言
傅增湘先生は中國近代の有名な學者である。1917年民國教育總長に任じたが、五四運動の過程で、北京政府が北京大學の校長蔡元培を罷免しようとしたのに抵抗して辞職したという経歴を持ち、北京大學とも深いゆかりの有る人物である。傅增湘先生は、生涯を通じて中國古籍に親しみ、二十数萬卷に達したその蔵書は、近代中国の個人蔵書としては規模・水準ともに最高級に属する。1947年以降、その蔵書は段階的に故宮博物院、北京圖書館や故鄉である四川省などの公共圖書館に寄贈された。傅增湘先生は、中國古籍の版本目錄学研究に生涯を捧げられたと言ってよく、版本目錄學者としては最高級の声譽を受けている。
今年の10月20日は、傅增湘先生の逝世六十周年に当たっており、北京大學圖書館と 東京大學東洋文化研究所、京都大學人文科学研究所では、共同で紀念展を開き、傅增湘先生を偲ぶこととした。
三校で同時に展覧し、自校の所蔵品と他の二校の所蔵品の圖版で展示を行う予定であったが、北京大学で予定どおりの展示を行う他は、人文科学研究所は適当な展示場が無い為展示を諦め、東洋文化研究所では耐震補強工事の影響で貴重書を博物館に寄託してある為貴重書の展示は諦め、圖版を中心とした展示となった。北京大學圖書館には、傅增湘先生の題跋の有るものやその旧蔵書が二十種以上、著作や書目が二十種以上所蔵されている。東京大學東洋文化研究所には、傅增湘先生の題跋の有るものやその旧藏書が十八種、京都大學人文科学研究所には、傅增湘先生の題跋のあるものを含めて旧藏書が三種、傅增湘先生の蔵書をその友人が書写したものが一種所蔵されている。
展示期間 二〇〇九年十月二十日より十一月十一日まで