共同利用・共同研究拠点化について(平成22〜27年度)

共同利用・共同研究拠点化の概要

東洋学研究情報センターは、2009年6月,文部科学大臣によって共同利用・共同研究拠点に認定され,2010年度から全国の関連研究者コミュニティーに対しより開かれたセンターとしての活動を開始しました。 「東洋の文献、造形、社会・情報の各分野に関する資料学的研究を行い、その成果を研究情報として蓄積するとともに、学内外に公開する」という当センターの設置目的に沿い、①人文・社会科学を総合したアジアに関する資料学的研究、②アジア研究に関する研究資源共有化システムの開発、③同施設および東洋文化研究所が所蔵する研究資源(アジア諸地域の文献、造形資料、各種データベース等)を用いた研究、の3分野で事業を推進しています。 これは、東洋文化研究所が所蔵する豊富な研究成果、研究資料を整備公開し、これまでも実質的に国内外に渡るアジア研究の共同利用拠点となってきた当センターの役割を制度化し、さらなる発展を目指すものです。

こうした目的の達成のため、あらたに国内外の研究者コミュニティに開かれた体制による共同研究を実施しています。 共同研究は上記の3分野にまたがって計画し、学内外の委員からなる運営委員会での審議に基づき公募により実施しています。 また共同利用については、文献資料とデータベースがこれまでも広く国内外の研究者・学生に公開し利用されてきましたが、それ以外の研究資源も含めた使いやすい公開方法の整備、より高次元なアジア研究データベース開発を通じ、研究者コミュニティや社会の要望に応え、新しい共同研究に発展しうるような共同利用の実現を目指しています。 1941年以来東文研に蓄積されてきた世界でも有数のアジア研究資源の、よりいっそうの充実と高次化、またその資源を用いた研究を、東洋文化研究所教員のみならず広く国内外のアジア研究者に開かれた形で実施してゆきます。  

共同利用・共同研究拠点化により目指すもの

現在までアジアの知は、言語の制約によって地域ごとに専門研究者に担われ、それらをタテヨコに結んで比較と総合の研究を行うことは、ごく少数の達人にのみ許されたことでした。 共同利用・共同研究拠点化は、国内外のアジア研究者との共同作業を通じ、地域・時代・専門分野が異なる研究者・学生さらには一般市民・学校生徒までが、それぞれ異なるレベルで活用できる知の共有システムを作り、アジア諸国間の充実した学術交流、相互理解にまで大きく貢献することを目指しています。 またそれを通じて、専門分野細分化の限界を破るアジア知の構造化、その成果をもってする社会との連携もこの拠点が目指す役割です。 当センターの蔵書、造形資料はアジア研究分野で国際的に最重要な質と量をもっており、海外からも多くの利用者を集めています。 現在も貴重古籍の全文画像公開その他のデータベース資料が、全国やアジア諸国の研究者・学生に盛んに利用されておりますが、拡大を求める声が強くあります。 共同利用・共同研究拠点化により、資料を蔵して来訪者を待つ施設から、多様な知識・情報をオンラインで利用するための拠点への発展を、全国さらに海外の研究者コミュニティと共同し開かれた形で進めてゆきます。