すでに当研究所では、「インド・イスラーム史跡」の中のデリーの検索ページでデリーの写真を公開しておりました。今回、新たにデジタル化した画像を加え、『デリー―デリー諸王朝時代の建造物の研究 第1巻 遺構総目録』に書かれた建造物の個別解説を併記することによってよりわかりやすくするよう工夫いたしました。
また、デジタルな拡大機能を用いることによって、細部まで画面上で写真を拡大することができます。
インド史跡調査団の現地調査は、1916年から1920年にインド考古調査局によって出版された『Delhi Province. List of Muhammadan and Hindu Monuments. Vol. Ⅰ-Ⅳ.』を基盤としてなされました。この著作は、1997年に『Monuments of Delhi』として、再版されています。
その内容は、広域のデリーにのこる遺構を網羅的に収集したもので、それぞれの遺構に関して、a.名称、b.位置、c.所有者、d.評価(Ⅰ−Ⅲ)、e.建設年代、f.インスクリプション、g.現況、h.保存の必要性の有無、j.記述、k.参考文献、l.写真の順に報告しています。ムガル朝、ヒンドゥー教の建築をも含んでおり、採録総数はVol.Ⅰ;No.1-410、Vol.Ⅱ;No.1-418、Vol.Ⅲ;No.1-347、Vol.Ⅳ;No.1-142と多数にのぼります。
インド史跡調査団が『デリー第1巻』を出版するときにも、個別解説の末尾に、対応番号が記されています。インド考古局(Archaeological Survey of India)の頭文字をとって、ASI.x-No(xにはVol.ⅠからⅣ、Noには採録番号)と記されています。
インド史跡調査団は、調査後資料を整理するにあたって、調査区域を10地域にわけ、遺構に番号をふっています。その番号は、インド考古局番号と並んで、個別解説の末尾に東研.y-No.(yにはⅠからⅩの地域区分、Noには整理番号)が付されています。
所蔵写真の中には、『デリー』では取り上げられなかった多くの写真があります。インド史跡調査団の目的は、サルタナット期に属する歴史的建造物の調査でした。したがって、スール朝、ムガル朝に属すると判断した遺構については、報告を行っておりません。その中には『Delhi Province. List of Muhammadan and Hindu Monuments. Vol. Ⅰ-Ⅳ.』に採録されているものと、調査で発見したものが含まれます。
今回、これらの遺構を可能な限りご紹介することにしました。そのために、1526年以後という時代区分を設けました。
それぞれの物件をあらわす際に、まず『Delhi Province. List of Muhammadan and Hindu Monuments. Vol. Ⅰ-Ⅳ.』に採録されているものを優先し、ASI-x-No. o(xにはVol.ⅠからⅣ、Noには採録番号) で表しました。
また、調査で発見したもので、『Delhi Province. List of Muhammadan and Hindu Monuments. Vol. Ⅰ-Ⅳ.』に記述のないものについては、インド史跡調査団の資料整理番号を用いて、IOC-y-No. (yにはⅠからⅩの地域区分、Noには整理番号)で表記しております。
加えて、今回の写真整理の過程で、上記の2つの範疇に属さないけれども、写真から歴史的遺構として判別できるものに関しては、RICAS-No(その総数は109件にのぼります)と表記しました。