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ザファルー=ハーン(Zafar Khan)の墓とされているもので,トゥグルカーバード城砦の南方の,ガヤースッディーン=トゥグルクの墓として知られている建物をとり囲む小城砦の一角にある。附図.J-13
この墓は,小城砦の北のバスティオンのなかにあり,ドームをいただく,外辺3.3メートルの八角平面の達物で,基台の上に立っている。壁面とドームの内部は,赤い砂岩を全面に用いているが,ドームの外部は,白大理石でおおわれ,いわゆるガヤースッディーン=トゥグルクの墓と照応している。内部には,2基の小さな墓石がある。南の入口のリンテルには,三個所にわたって,ガヤースッディーン=トゥグルク=シャーの名と,ザファル=ハーンの名を記した碑文がのこっている。この碑文が夫折したと伝えているザファル=ハーンなる人物の生涯については,よくわからないが,この建物が,その人物の墓として,スルターン=ガヤースッディーンの命によって建てられたことは,上述の碑文のあり方と,その内容からみて,信じていいかもしれない。第Ⅱ期。
東研.Ⅹ-4-4;ASI.Ⅳ-3

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