T002
イレトゥミシュ(Iletmi)の墓として知られており,メヘローリー部落の東北隅,クトゥブ=モスクの西裏側にある。附図.F-12
この墓は,西にミヒラーブ,他の三方に入口をもつ,外辺12.8メートルの四角平面の建物で,現在,屋根はない。もともと屋根がつくられなかったのか,あるいは後代に崩壊したものかは,論議をよんだところであるが,断言はできないにせよ,後者の可能性がつよい。外部は,入口の周辺に文様がほどこされているが,これに対して,内部は,一部をのぞいて,壁面全体が碑文と文様におおわれていて,著しい特色をなしている。室内の中央には,白大理石の堂堂たる墓石がおかれており,また,床下には地下室が設けられている。現在,北側に,地下に通じる階段があるが,障壁があって,室内に入ることはできない。この建物が,伝えられるように,奴隷王朝のスルターン=シャムスッディーン=イレトゥミシュの墓であるかどうかについては,いささか疑問の余地がのこされている。第Ⅰ期
東研.Ⅸ-6;ASI.Ⅲ-9