研究交流目標

東京大学東洋文化研究所東洋学研究情報センターは2010年度から共同利用・共同研究拠点となり、外部に開かれた研究機関としての第一歩を踏み出すことになった。同センターは造形資料学分野と比較文献資料学分野を中心に人文学的研究を専門的に行ってきたが、2009年度にアジア社会・情報分野が新設され、アジアで行われてきた社会調査の比較分析を軸とした、新たな研究領域の開拓に取り組みつつある。

同センターの研究基盤を強化するため、本事業を通じて、(1)新しい研究領域の開拓を推し進め、従来データベースの欠如ゆえに本格的に展開されることの少なかったアジアを対象にした比較社会学的研究を進めるとともに、(2)データ分析を通じた新たな事実を明らかにしたい。同時に、(3)学内外の諸機関と連携しながら、現在進みつつある東アジア域内での社会学研究者の交流を加速させ、(4)2014年に横浜で開催予定の世界社会学会議で、日本及び東アジアにおける社会学研究のプレゼンスを高める土台づくりを行うことを目的としている。

こうした作業を進めるためには、アジア域内で比較可能なデータベースを構築し、これらのデータを利用した共同研究を進めるとともに、その成果を積み上げていく作業が必要とされる。同センターでは、猪口孝教授(現・新潟県立大学学長)や田中明彦教授(現・東京大学理事)を中心に2003年からアジア・バロメーターが実施され、2008年に至るまで膨大なデータ蓄積を行ってきたが、本事業では、これらのデータベースを有効に活用するとともに、上記の4つの目的を達成するための諸作業を行う。