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1.1.1 データベースが提供する情報の範囲
このデータベースの書誌情報は、末松保和編『朝鮮研究文献目録
1868-1945
(上・中・下)』(東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センター刊、1970)を底本としているが、同書に記載されていない所蔵先データや、新たに刊行された復刻版、影印本に関する情報を逐次追加し、所蔵データベースとしての機能の拡充を行なったものである。したがって、このデータベースでは、書誌情報(書名・著者名)だけでなく、所蔵先の機関または典拠となる目録名からも、書誌の所蔵の有無について、キーワード検索を行うことが可能である。
データの採録にあたっては、典拠略称対照一覧に掲げる各機関刊行(未定稿のものを含む)の目録、各機関設置のカード群、および各機関がインターネット上にて提供する所蔵書誌データベースより、次の基準に該当するデータのみを選択した。
ア.朝鮮に関する内容(分野は限定しない)を主に扱う単行本または雑誌。 |
ただし、これはあくまでも原則であり、小倉文庫(東京大学文学部所蔵)など資料収集者個人が研究対象となり得るものに関しては、上の選択基準にかかわらずほぼすべての書誌情報を収録するよう努めた。以上の基準に基づき、このデータベースに収録されているデータ数は、2001年8月5日現在、計16,431項目にのぼる。(なお、データ更新の際、前回更新時よりデータ数が減少する場合があるが、これは重複データの削除および連続刊行物データの統一化を行った結果である。)
1.1.2 採録されたデータの正確性
各書誌情報の収集・整理にあたっては、対象書誌が全国に分散しており原資料を逐一点検することができない関係から、次のような作業を独自に行い、各情報の正確を期した。
ア.複数の書誌情報のうち、最も正確と判断される情報を代表的に掲載する(Nacsis
Webcatが提供する書誌情報など)。 |
したがって、特にイの場合には原状と異なる可能性を排除することができないが、この点に関しては問題が発見され次第、逐次改善したい。また、故・末松保和氏により収集された書誌情報のうち、作業過程において所在状況を確認できなかった書誌に関しては、当面の措置として「典拠」欄を空白にした状態で登録されている。これについては所蔵先が確認され次第、適宜情報を追加する予定である。以上のように、このデータベース上に記録されたほとんどの情報は、出版された目録または書誌カード上の情報のみに基づいて作成されているため、利用者にデータを提供する時点においては、各データの情報が実際の所蔵状況と異なる場合がある。
なお、各所蔵機関において蔵書が調査され、冊子目録が刊行された後にも、利用者の長期持出や破損などにより書誌が紛失している場合が少なからずある。そのため、利用の際には各所蔵機関に所在を逐次問い合わせることが望ましい。
1.1.3 本データベースにより得られない所蔵データについて
このデータベースの制作時に利用した目録データのうち、特に京城帝国大学や朝鮮総督府図書館など旧植民地地域に所在した機関の書誌目録情報については、現時点における所蔵状況を追跡することが困難な状況にあり、四方文庫は現時点において対象書誌の所有者が未詳となっている。また、アジア経済研究所編『旧植民地関係機関刊行物総合目録−朝鮮編−』(ア総目)は、本データベースと同様に所蔵情報を提供する目録であるため、すべてがアジア経済研究所に所蔵されていることを意味するものではない。なお「ア総目」には、このデータベースでは収録されていない重要な研究機関(一橋大・東北大・九州大など)の所在情報が収録されているため、そちらもあわせて参照されたい。なお現在では、典拠一覧以外の所蔵情報を探す場合には、国立情報学研究所がCiNii Booksを提供しており、そちらとあわせて利用すると便利である。
1.1.4 典拠情報の例外
本データベース上で提供する所蔵先データのうち、京都大学および東京大学内に所在する図書館(室)は多数にのぼるため、すでに「典拠」欄に設定されている各機関(例:「京大経調」「東大経」)を除いては、「京大図」「東大図」の各「所蔵注記」欄に所蔵機関名を入力した。なお、京都大学では各専攻ごとに書誌が保存されている場合が多いため、所蔵先の学部・学科・専攻(講座)を「-」で区切り、表示を簡略化した(例;理-地球惑星科学-地質学鉱物学)。また、典拠元となる目録以外から新たに書誌データが発見された場合には、当該所蔵機関をさす「所蔵注記」欄に、機関名を別途記入した。
1.1.5 情報に関する問い合わせ
このデータベースは原資料を実際に検証したものではないため、実際に原資料を探索する際には、事前に各機関に問い合わせることが望ましい。また、同一書誌に関する情報であっても、重版にともなう情報の変更、および各目録における収録情報レベルの差異などにより、データ上では別書誌として扱われている場合がある。また、各機関内での配架状況はデータ上に反映されておらず、特に逐次刊行物の所蔵状況については目録刊行後の欠落などが発生している可能性もあるため、事前に各機関に問い合わせることが望ましい。なお、各研究機関連絡先およびリンク一覧ページ、または各詳細データの「典拠」にはられているリンクから各機関のサイトに移動し、そこを通じてEメールを送信することも可能だが、ほとんどの機関では、メールによる所蔵図書に関する問い合わせを受け付けていないため、できる限り電話などを利用されたい。
1.1.6 現在までの作業進行状況
2000年3月に本データベースの供用を開始していらい引き続き、書誌情報および所蔵情報の追加を行ってきた。具体的には、東京大学(総合図書館その他全学の図書館)、京都大学(附属図書館その他全学の図書館)、文化センター・アリラン(特定非営利法人。埼玉県川口市所在)所蔵の梶村文庫および田川文庫、釜山広域市立市民図書館の各機関に所蔵されている該当書誌を独自に調査し、データベース上に反映させてきた。最近では、景仁文化社刊『韓国地理風俗誌叢書』(1989〜1995刊)収録の書誌情報および所蔵先情報の追加入力が終了した。この叢書は、内容を見る限り、韓国・国立中央図書館が主に所蔵する書誌を大量に影印複写し、刊行されたものと推定されるため、著作権法上での問題など注意を要する点もあるが、現在日本において入手可能な数少ない情報源であるという状況を考慮し、研究上の便宜を図る目的で収録を行った。以上の作業により、朝鮮近代史研究者をはじめとするデータベース利用者の便宜性が向上したものと確信する。(辻 弘範)
このデータベースに使用されている文字コード(シフトJIS)に属さない漢字およびハングルについては、直接文字として画面に表示することが技術的に困難な状況にあるため、当面の措置として、ユニコード(注1)内にて該当文字に配定されているコード番号を記入し、また各コード番号の前に「U」を付した(例:「金+庸」=[U93DE])。また、ユニコード内にもコード番号が配定されていない漢字については、諸橋轍次著『大漢和辞典』(注2)内にて配定されている一連番号に、頭文字の「D」を付して表示した(例:「口+風」=[D03988])。さらに、上記のいずれにも収録されていない特殊な漢字についてはこれを外字扱いとし、文字の位置を「●」により表示した上、注記欄にその組み合わせを示した(例:「●=示+集」)。以上に関しては、将来、データベース上の使用文字コードが全面的に改定される際に、適宜文字化する予定である。なお、このデータベースには表示コード対照一覧が付設されており、各コードを付された漢字およびハングルの字形を画像フォントにより確認することができる。
(注1)福原元一編『日本工業規格
国際符号化文字集合(UCS)−第1部 体系及び基本多言語面 JIS X
0221-1995』(日本規格協会、1995)。
(注2)諸橋轍次著『大漢和辞典』(全13巻、大修館書店、1960年)
検索画面上では、「書名」・「編著者名」・「発行年」および「典拠」の各項目について、キーワード入力により検索を行うことができる。典拠(所蔵機関名)で検索を行なう場合には、検索画面下部の「典拠」フィールドから機関名(略称)を選択する。検索対象フィールドは、各検索語について検索画面中央部の選択ボタンから選択できる(組み合わせは自由)が、「いずれかの」(デフォルト設定)を指定した場合には、上記フィールド内すべてについて当該検索語を探索する。また、検索画面左側の選択ボタンでは検索対象情報を絞り込むことができ、複数のキーワードにより絞り込む場合には「かつ」を、複数のキーワードのいずれかを含む情報をすべて検索する場合には「または」を、検索対象群より特定の語句を除く場合には「次を除く」を、それぞれ選択する。ただしキーワード入力の際、登録データの性格上、以下のような技術的な問題点があることをあらかじめ了承されたい。
1.各情報の「読み」はデータとして入力されていないため、単語の読みを検索語として使用することはできない(例:「ちょうせんそうとくふ」)。したがって入力時には、検索したい文字を正確に入力する必要がある(特にJIS第2水準の漢字については注意を要する)。
2.「調査報告」「道勢一斑」など、多数の機関が発行した連続刊行物および調査資料、統計資料などについては、名称が近似している点を考慮し、原則として書誌名の先頭に機関名を括弧([ ])内に入れて表示した(例:[朝鮮総督府]調査資料)。
3.データ入力にあたっては、検索時の便宜を考慮し、原則として本字体(いわゆる旧字体)を新字体に変更した。そのため、他のデータベースにて知りえた情報が本字体により記述されている場合には、適宜新字体に変更して検索する。なお、これまで本字体と新字体がともに使用されていたもののうち、一部の事例(例:「古跡」or「古蹟」、「一斑」or「一班」)については、新字体への統一化が完了した。これら以外については発見し次第、適宜修正を行っているが、もし新字体で検索を行った場合に検索したい書誌名が表示されなかった時には、キーワードを本字体で再度入力し、検索することが望ましい。
4.発行年はすべて西暦で登録されている。したがって、日本の明治・大正・昭和をはじめ、朝鮮王朝の開国紀元、大韓帝国の建陽・隆熙・光武、その他「満洲国」や中華民国における年号のみで刊行年情報を知り得ている場合には、適宜換算して入力する。なお現在は、「所蔵注記」欄内の元号表記を西暦表示に逐次更新中である。
5.逐次刊行物の所蔵状況は「所蔵注記」欄に記載されている。ただし、すべての巻号が保存されている機関については、同欄が空白となっている。
6.検索結果の一覧表示画面におけるデータ群の配列は、作業者によりデータが入力された際に自動的に与えられた「通し番号」に基づき表示される。したがって、書名・著者名などによっては配列されない。なお、この通し番号は、詳細表示画面ウィンドウを表示した際、ブラウザの「アドレス:」(IE)または「場所:」(Netscape)ウィンドウ上で、URL最後部の数字として表示される(例:[慶尚北道]道勢一斑→「http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/uncgi.cgi/kdbdetail.cgi?6653」)。万一、データの不備や新規の情報を発見された方は、データベース管理者にメールにて報告されたい。
以上の問題点は、公開後に順次改善していく予定である。(辻 弘範)