テヘラン大学中央図書館文書・写本センター |
(Keta^bkha^ne-ye Markazi^-ye Da^neshga^h-e Tehra^n, Markaz-e Asna^d va
Noskhe-ha^-ye Khatti^) |
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住所 |
テヘラン、エンゲラーブ通り、テヘラン大学中央図書館 1階ラシードゥッディーン・ホール(Ta^la^r-e
Rashi^d al-Di^n Fazl Alla^h, ウェブサイト上の名はSalon specified for study
of Iranology)
Keta^bkha^ne-ye Markazi^-ye Da^neshga^h-e Tehra^n, Kheya^ba^n-e Enqela^b,
Tehra^n, Iran
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連絡先 |
メールアドレス:Pub-rel@cldc.ac.ir(中央図書館アドレス)
ウェブサイト:http://pages.ut.ac.ir/library/home.htm
この他、中央図書館の各部局への連絡方法は、ウェブサイトを参照
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開館時間 |
土曜日-水曜日:8:30-12:30AM 13:30-15:00AM
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休館日 |
木曜日、金曜日、その他イランの祝祭日
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行き方 |
テヘラン大学はテヘラン市の中心を東西に横断するエンゲラーブ通りに面しており、構内に入れば大学総合図書館である中央図書館はすぐに見つけられる。
文書・写本センターがあるラシードゥッディーン・ホールは、中央図書館1階、正面玄関を入ってすぐ左手である。
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所蔵資料の特徴 |
文書・写本センターで閲覧できる中央図書館の写本コレクションは、Sayyid
Mohammad Mashku^h寄贈コレクションをはじめとする複数の学者・写本収集家のコレクションをもとに作られた、イランでも屈指のイスラーム期写本コレクションである。テヘラン大学文学部(Da^neshkade-ye
Adabiya^t)写本コレクションも、現在はこの文書・写本センターに移されている。
文書・写本センターのコレクションのもう1つの特徴は、革命前にM. Mi^novi^博士が蒐集した内外の写本所蔵館貴重写本のマイクロフィルム・コレ
クションの存在だろう。フィルムという限界はあり、また古いフィルムには破損が激しいものもあるが、一カ所で世界各地の有名写本を調査できるという優れた利点がある。イラン国内からも、足を伸ばしにくい地方図書館、マレク図書館Keta^bkha^ne-ye
Melli^ Malekなど複写規制の厳しい図書館の貴重写本のマイクロや、現在所在の確認が難しい旧個人蔵の写本のマイクロが集められており、これら写本の閲覧・複写が当センターで容易にすることができる。
また、この文書・写本センターの閲覧コーナーがあるラシードウッディーン・ホールは、イラン学(歴史・文学・美術など)関係の図書を集めた閲覧室である。外国語文献はやや古い出版物が中心だが、歴史・人文学分野のペルシア語文献は網羅的に揃えられており、開架式であるため(中央図書館は基本的に閉架式)イランで出た文献を総覧できる理想的な場である。
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所蔵資料の数量 |
World Survey of Islamic Manuscript (ed. by G. Roper, 4vols, London, 1992-4,
vol. 1, p. 522.)によれば、所蔵写本数は14, 203点(アラビア語・ペルシア語・トルコ語、1991年段階での情報)。
また、ラシードゥッディーン・ホールのイラン学関連刊行資料は14,000点(ペルシア語・アラビア語・その他諸外国語、中央図書館ウェブサイトの情報による)。
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入館許可の取得方法 |
図書館利用申請に必要な書類は、所属機関の英文の紹介状のみである。紹介状には、申請者の身分、専門分野と、図書館の利用目的、利用期間を記す。文書・写本センターの写本の閲覧・複写を希望する場合は、「写本の閲覧および研究上必要な写本の複写の許可を申請する」旨を、必ず明記しておく。さもないと、図書館での刊本閲覧の許可は下りても、写本は閲覧・複写させてもらえない可能性がある。
紹介状の提出先は、大学事務の国際局Ravabet-e Beynolmelali^(大学キャンパスの東、Sha^nzdah-e
A^zar通り)である。ここに申請書を提出すると、申請者持参の紹介状のコピーを添えた中央図書館宛の紹介状を発行してくれる。
国際局紹介状を中央図書館の一般事務局(Daftar-e Omu^mi^)に提出すると、図書館長(ra'i^s-e
keta^bkha^ne)から許可のサインを受けるよう指示が与えられる。紹介状に図書館長のサインが与えられれば、図書管理用の許可が下りたことになる。これを上記の文書・写本センターに提出すれば、その日から写本の閲覧ができる。なお、図書館長のサイン入りの紹介状は、今後の図書館での身分証がわりになるため、センターに提出する前に大学近辺のコピーセンターで自分用のコピーを取っておく。
文書・写本センターでの写本閲覧方法であるが、図書館に入館したら、まずエントランス・ホールの左手にある荷物預かり所に鞄を預ける。館内に持ち込めるのは貴重品・筆記用具のみである。ラシードゥッディーン・ホールに入室したら、入り口の名簿にサインする。入って左手の一角が、写本閲覧室である。
出納カウンターに備えられた小型の閲覧申請書に目的の写本またはマイクロフィルムの請求番号(カードはないので、写本目録で調べておく)を記入すると、司書が閲覧室にある小型エレベーターでそれを書庫(makhzan)に送り、書庫から目的の写本が届く。写本は出納カウンターの前の2つのテーブルで閲覧する。
マイクロフィルム・コレクションのうち古いものは破損が激しく、またマイクロ・リーダーが2台しかないので(2003年現在)、やや使いづらい。フィルム・コレクションは、すべてではないが、焼き付け版(aksi^)も作られており、焼き付け版があるマイクロはそれを閲覧する方が簡便である。各マイクロフィルムに焼き付け版があるかないかということと、焼き付け版の請求番号は、閲覧室に備え付けの台帳で調べることができる。
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複写許可の取得方法 |
写本・マイクロフィルム・焼き付け版の複写には、すでに述べたように、最初に提出する紹介状で「希望写本の複写」を明記しておくことが必要である。その紹介状に対して図書館長の許可のサインがなされていれば、資料の複写申請ができる。
閲覧室カウンターで渡される申請用紙に必要事項(申請者名・所属、複写希望写本・マイクロ番号、フォリオ数=写本一冊総て複写したい場合は、「all
(ka^mel)」と記す)を書き込み、提出する。貴重写本や、破損が激しい写本・マイクロは複写許可が下りない場合があると思われるが、基本的に、一度にあまりに大量の申請をしたりしない限り、複写が厳しく制限されるということはないようである。申請用紙には出版意図があるかないかを明記する項目があり、
出版目的を前提とした複写申請にともなう手続きについては、残念ながら本稿執筆者は現在のところ情報を得ていない。しかし、研究目的の複写であれば、ごく速やかに許可を得ることができる。
現在、イランの写本・マイクロ複写にはCDが盛んに使用され始めているが、執筆者が見た限り、テヘラン大学では2003年の時点ではまだ一般化していないようである。写本・マイクロは焼き付けにより複写され、焼き付け版はゼロックス・コピーで複写される。複写が出来上がり、正確な金額が分かった段階で、支払い書を渡してくれるので、それを図書館2階の会計(sandu^q)に持ってゆき、代金を払い、領収書を閲覧室カウンターに提出すれば、複写を渡してくれる。
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所蔵資料カタログ |
中央図書館写本カタログは、Monzavi^, 'A. N. et als. eds., Fehrest-e Noskhe-ha^-ye
Khatti^-ye Keta^bkha^ne'-e Markazi^-ye Da^neshga^h-e Tehra^n, vol. 1-,
Tehra^n, 1348-53kh.
マイクロフィルム・コレクションのカタログは、Da^neshpazhu^h, M. T. ed.,
Fehrest-e Maykru^fi^lm-ha^-ye Keta^bkha^ne'-e Markazi^-ye Da^neshga^h-e
Tehra^n, 2vols., Tehra^n, 1348-53kh.
なお、閲覧コーナーには、上記のカタログをはじめ、イラン内外の写本所蔵館の写本目録が備えてある。国外の目録は揃いがよいとは言えないが、国内の目録は比較的充実しており、写本目録の調査もここですることができる。
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資料を使って出版する場合の注意点 |
本稿執筆者は、刊行を目的とした資料複写にともなう義務について、現在情報を持っていない。資料そのものの校訂出版ではなく、史料として研究に使用する場合は、その研究の出版に際し抜刷を送らねばならないなどの規則はないようである。
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体験談・注意点 |
テヘラン大学構内には、基本的に、大学の身分証または入構許可証を持たない部外者は入ることができない。大学構内の図書館へは、国際局があるSha^nzdah-e
A^zar通りの門からほとんどの場合問題なく行くことができるのだが、守衛から国際局紹介状とはべつの入構許可書の提出を求められる場合もあるため、慎重を期したいならば、国際局を訪れた際に、図書館利用期間の入構許可書も発行してくれるよう、頼むのがよい。
写本閲覧の際、写本を傷めないよう注意するのは当然であるが、ノートを取る際のボールペンの使用などは比較的自由である。写本を扱う時は鉛筆を使い、シャープペンシル、ペンの使用を禁じるということはイランでは常識になっているとは言えず、ペンを使っていても咎められることはないが、できることなら避けるべきだろう。
複写の出来上がりはあまり早いとはいえず、かかる時間も一定ではない。滞在期間が限られている場合は、なるべく早く複写申請をし、残された時間を知らせ、その期間内にできる限り早く複写してくれるよう、よく頼んでおく必要がある。海外への複写の送付は、基本的に扱っていないと思われるため、申請者自身が受け取ることができない場合は、誰か現地にいる人に代理を頼み、代金支払い・複写受け取りを行って貰わねばならない。
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議会図書館写本室 |
(Keta^bkha^ne-ye Majles-e Shoura^-ye Esla^mi^) |
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住所 |
テヘラン、バハーレスターン広場
Tehra^n, Meyda^n-e Baha^resta^n
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連絡先 |
ウェブサイト:http://www.majlislib.org/
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開館時間 |
8:30-16:00
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休館日 |
金曜日、その他イランの祝祭日
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行き方 |
テヘラン市の中心、テヘラン大学があるエンゲラーブ通りから出発した場合、エンゲラーブ通りの南に平行して走る大通り、ジョムフーリーイェ・エスラーミーJomhu^ri^-ye
Esla^mi^通りに出るのがよい。ジョムフーリー通りから東に向かって流している乗り合いタクシー(sava^ri^)に「バハーレスターンへ」と告げると、議会図書館のあるバハーレスターン広場へたどり着くことができる。図書館は、バハーレスターン広場の東、広場に面している。
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所蔵資料の特徴 |
テヘランにおける主要公共図書館の1つである議会図書館は、広範な分野にわたるアラビア語・ペルシア語・トルコ語のイスラーム期写本の所蔵量でも屈指の存在である。特に旧Majles-e
Sana^図書館所蔵の写本は、歴史・文学の分野で貴重な写本が多い。また、写本学研究誌『Na^me-ye
Baha^resta^n』の発行など、写本研究に関する出版活動にも注目すべきものがある。
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所蔵資料の数量 |
World Survey of Islamic Manuscript (vol. 1, pp. 529-35.)によれば、所蔵写本数は約16,000点、旧Majles-e
Sana^図書館写本は1,750点(アラビア語・ペルシア語・トルコ語、1991年段階での情報)。
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入館許可の取得方法 |
1年の閲覧証を作る場合は、所属機関の英文の紹介状、身分証(パスポート)のコピー、証明写真2枚が必要である。しかし、短期の利用であれば、紹介状のみで、必要な期間(数週間)の入館証を発行してくれる。紹介状には、申請者の身分、専門分野と、図書館の利用目的、利用期間を記し、写本の閲覧・複写を希望する場合は、「写本の閲覧および研究上必要な写本の複写の許可を申請する」旨を、必ず明記しておく。
紹介状の提出先は、図書館1階の一般事務(Rava^bet-e Omu^mi^)である。短期の利用なら、紹介状を提出したその日にすぐ入館証が発行され、写本を閲覧することができる。
議会図書館に入館する時は、まず入り口の荷物預かり所に荷物を預ける。館内に持ち込めるのは貴重品・筆記用具のみである。ここで持ち込み品の簡単なチェックを受け、特に帰りは複写した資料の申請をする(館内で資料をコピーした時、発行されたチケットを提示する)。
写本閲覧室は、図書館2階にある。閲覧室の出納担当者のディスクに備えられた閲覧申請書に目的の写本の請求番号(カードはないので、写本目録で調べておく)を記入し提出すると、担当者が奥の書庫から写本を運んできてくれる。
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複写許可の取得方法 |
写本の複写は、閲覧室出納担当者ディスクで渡される申請書に必要事項(申請者名・所属、複写希望写本・マイクロ番号、フォリオ数)を記入した後、写本部門の責任者であるA.
H. Ha^'eri^氏の判断を仰ぐ。Ha^'eri^氏から申請用紙に複写許可のサインが与えられれば、1階の複写室に複写を依頼できる。現在、イランの写本・マイクロ複写にはCDが盛んに使用され始めており、議会図書館は積極的にCD(Windows、モノクロ)複写を行っている。マイクロフィルムの申請もできるが、CD複写の方が歓迎される。CDの画質は良く、出来上がる時間が早く、フォリオ数にかかわらず一律1万トマンと非常に安い。写本のマイクロフィルムがすでに準備されていれば1-2週間、写本のマイクロがない場合でも、2-3週間で複写ができる。複写が出来上がれば複写室で代金を払い、CDを受け取ることができる。
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所蔵資料カタログ |
Da^neshpazhu^h, M. T. & A. I. Anwa^ri^ eds., Fehrest-e Keta^b-ha^-ye
Khatti^-ye Keta^bkha^ne'-e Majles-i Sana^, 2vols., Tehra^n, 1355-9.
Ha^'eri^, 'A. H. et al. eds., Fehrest-e Keta^bkha^ne'-e Majles-i Shoura^-ye
Milli^, vol. 1-21, Tehra^n, 1305-57.
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資料を使って出版する場合の注意点 |
本稿執筆者は、現在のところ、複写資料の出版にともなう義務について、情報を持たない。
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体験談・注意点 |
テヘラン大学中央図書館と同様、ノートを取る際のボールペンの使用などは比較的自由であるが、写本の破損を防ぐために、長時間の閲覧や手書きによる複写は歓迎されていないようである。本稿執筆者の例であるが、写本現物は簡単に確認するにとどめ、詳しく調べたいなら複写申請をするように指示を受けた。
議会図書館での写本複写には基本的に厳しい制限はないのだが、責任者のHa^'eri^氏の判断が極めて重要であるというところに、議会図書館の特徴があるといえるだろう。現在イランで最も高名な写本研究者の1人であるHa^'eri^氏は、「師(osta^d)」の呼び名で深い尊敬を受けている人物である。複写許可に関する決定権は氏に属しており、氏が極めて貴重な写本である、図書館からの校訂出版の予定がある等の理由で許可しなかった写本は、複写できない。しかし、自分の研究課題を説明し、自分の研究に極めて重要な史料であることを説明すれば、複写を許可してもらえることもある。言い添えておくと、いかにも気難しげな老Ha^'eri^氏が研究者達を前に写本学の講義を行う執務室へ申請書を持って入り、複写許可のサインを請う瞬間は、かなり緊張する瞬間である。システマティックな図書館での調査に慣れた研究者は戸惑いを感じるかも知れないが、「写本の神様」ともいうべき風貌を持つHa^'eri^氏の写本への愛情、その深い学識を尊敬して多くの研究者が集っているその独特の雰囲気を知らずに、議会図書館写本室を利用することは難しいだろう。
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