澳門(マカオ):図書館・文書館ガイド  
 
東京大学大学院総合文化研究科 准教授  吉川  雅之
(2008年8月20日)

 澳門の歴史は,澳門現地の歴史であると同時に,東西交流の歴史にとっての重要な一節でもあるという性格を宿命的に有している。史的文献を紐解けばそれを実感することは決して難しいことではない。筆者は2008年8月に現地で文献調査を行ったので,澳門と「澳門を通して見えるもの」を研究する上で足を運ぶべき諸機関について,ここに簡単な紹介を行う。

 澳門の公用語は中文(音声言語は広東語,文字言語は繁体字)とポルトガル語であり,公的機関の表示は中文繁体字とポルトガル語で並記されているが,webでは英語や中文簡体字のページも用意・整備されつつある。しかし,史的文献の多くは旧宗主国ポルトガルの言語で記されていること,そして近年刊行されている書籍は多数が中文繁体字で,少数がポルトガル語で記されていることは基礎知識として知っておくべきだろう。本文では【中】が中文繁体字,【葡】がポルトガル語,【英】が英語を表す。

 複写に関しては,各機関とも用紙はA4とA3しか提供されていない(澳門大学については未確認)。澳門の通貨はパタカ(MOP)であるが,以前から香港ドルが全域で通用する。図書館・文書館も香港ドルが通用する点で例外ではないが,マカオパタカは香港では使用できないので釣銭を受け取る際には注意が必要である。

 香港と澳門を結ぶ高速船は,

・香港島の地下鉄港島線の上環(Sheung Wan,ションワーン)駅に隣接する「港澳碼頭」(Hong Kong-Macau Ferry Terminal)

・九龍の尖沙咀(Tsim Sha Tsui,チムサーチョイ)にある「中國客運碼頭」(China Ferry Terminal)

から1時間に数便が出航している。所要時間は片道約1時間である。これらの高速船は近年混雑する傾向にあり,数時間後に出航する便でなければ乗船券が買えないことも珍しくないため,香港から日帰りで向かう場合は香港側で復路の乗船券も予め購入しておく方が賢明である。ダフ屋も出没しているので気をつけるように。

この他に,

・香港国際空港の「海天客運碼頭」(SkyPier)

からも出航しており,所要時間は45分と短いが便数は2時間に1本以下と少ない。以上の高速船は全て澳門半島の新口岸(Zona de Aterros do Porto Exterior)にある「外港碼頭」(Terminal Marítimo)が澳門側ターミナルとなっているが,上記の港澳碼頭からは1時間に1~2本の割合で澳門の氹仔(Taipa,タイパ)島行きも出航している。「外港碼頭」は一般に「港澳碼頭」とか「新港澳碼頭」と呼ばれているが,香港の港澳碼頭との混同を避けるため,本文では正式名称である「外港碼頭」を用いる。

 なお澳門の図書館・文書館の利用と所蔵文献については,歴史学の視点から既に適切な紹介が行われている(古泉達矢「香港・澳門の近代史関係史料について」,『中国研究月報』No.721,2008年)。古泉氏の論文は勿論のこと,そこに挙げられている先行文献も一読の価値があることを付け加えておく。

 



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澳門半島 南部

澳門  氹仔(タイパ)島


 


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