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12月16日、17日に台湾・中央研究院社会学研究所で2つのワークショップ「アジア社会の異質化と同質化:理論的・実証的視点」と「アジアバロメーターワークショップ2011」が実施されました

  日本学術振興会アジアアフリカ学術基盤形成事業「アジア比較社会学のフロンティア」の事業として、台湾・中央研究院社会学研究所で2つのワークショップ「アジア社会の異質化と同質化:理論的・実証的視点」と「アジアバロメーターワークショップ2011」が実施されました。

  2011年12月16日(金)と17日(土)の両日、中央研究院社会学研究所で上記の2つのワークショップが開催されました。
  初日はシニア・セッションで、アジア各地の社会学界を代表する研究者が、自国の社会学の発展の歴史を踏まえつつ、現代抱えている最もビビッドな問題を取り上げ、これがアジアの一体化をもたらしつつあるのか、それとも逆に分散化をもたらしつつあるのかについて議論を行いました。韓国からの研究者は移民と不平等の問題を取り上げ、中国からの研究者は中産階級の政治的態度と香港を対象にした社会学研究の意義について論じました。日本からの研究者は、アジア地域統合研究に社会学はどのような貢献が可能かについて問題提起をし、ホスト役となった台湾の研究者は、台湾の社会学が置かれている状況について指摘した上で、今後どのような形で研究を進めるかで社会学の未来の明暗が決まるだろうと論じました。
 一見するとバラバラな議論のようですが、(1)グローバルな課題は必ずローカルな文脈に置いて考えなければならない、(2)アジア横断的な研究を進めていくためには、アジア社会のダイナミズムとその環境を無視することはできない、(3)アジアの変化には異質化と同質化のベクトルが同時に働いている点への注視が欠かせない、とする意識が通奏低音として流れていたように思えます。
 シニア・セッションでは、来年度には「アジア社会学のテキスト」を念頭に置いた作業に移り、2年間の成果をうまく融合させる方向に向かっていくことを確認しました。
 2日目のジュニア・セッションは、7月の東京大学東洋文化研究所でのキックオフを踏まえ、アジアバロメーターの統合データセットを用い、みずからの課題・関心に従って比較研究を行いました。合計10本の論文が提出され、テーマもリスク、公共領域、政治意識、格差意識など多岐にわたりました。
 シニア・セッションに参加した研究者は、同僚としての容赦ないコメント・質問を報告者に浴びせ、今後どのような形で成果をまとめていくべきかについて、多くの示唆を与えていました。本事業が課題とする若手研究者の育成が、アジアの各大学・研究機関で、和気藹々というより緊張感を伴った形で進んでいる様子が垣間見られました。
 もっとも、7月のキックオフに参加した若手研究者のうち、4名がセッションに参加できなかった事態が問題となり、総括討論の際に、若手への機会の増加と具体的な成果の発表という矛盾したリクエストをどうにかすり合わせなければならない点が議論されました。そして討論の結果、この2年間の間に発表された25本の論文を対象に審査を行い、磨けばよい論文となる可能性があるものについては、来年度のジュニア・セッションで再度報告してもらうこと、そのために論文に最適な討論者を用意するなどのインセンティブを与えることを確認しました。
 ともあれ、日本学術振興会アジアアフリカ学術基盤形成事業による助成以外に、中央研究院社会学研究所も多くの財政的支援をしてくださり、台湾の社会学界を代表する研究者が多く討論を聞きにやってきたことからも、2つのワークショップは大成功に終わりました。

  そこで報告された論文やPPTの資料などについては、同事業のホームページ(http://ricas.ioc.u-tokyo.ac.jp/aasplatform/main.html)に掲載される予定となっています。


ワークショップ初日の会場風景

ワークショップ初日の会場風景

ワークショップ2日目終了後の記念写真

ワークショップ2日目終了後の記念写真


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登録種別:その他
登録日時:TueDec2016:05:502011
登録者 :園田・藤岡
掲載期間:20111216 - 20121217
当日期間:20111216 - 20111217