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センターセミナー” Dynamics of Image Creation on China in Comparative Perspectives”が開催されました

報告

 2017年10月25日、東洋文化研究所東洋学研究情報センターの機関推進プロジェクト「対中認識形成メカニズムの比較研究」が上記セミナーを主催いたしました。日韓台港を代表する世論調査機関で、国際認識、とりわけ台頭中国への意識を時系列的に実施している専門家が集まり、中国へのイメージがどのように形成されているのか、そもそも、どのようなイメージが抱かれているのかについての報告がなされ、活発な討論がなされました。

 実際のプログラムは、以下の通りです。

13:30 Opening Remark
Prof. Shigeto Sonoda (University of Tokyo)
13:50 Report on Hong Kong
Prof. Robert Ting-Yiu Chung (University of Hong Kong)
14:30Report on Japan
Ms. Yuho Nishimura (Genron NPO)
15:10Report on South Korea
Dr. Jiyoon Kim (The Asan Institute for Policy Studies)
15:50 Report on Taiwan
Prof. Michael H.H. Hsiao (Institute of Sociology, Academia Sinica)
16:30 Comments and Discussion
Prof. Joon-shik Park (Hallym University)
Prof. Shigeto Sonoda (University of Tokyo)

 セミナーには20名以上の聴衆が集まり、午後6時すぎまで議論が活発に行われました。

 冒頭の説明で、主催者である園田から、中国の台頭という「客観的な」事実を、周辺地域がどのように理解し評価しているかといった「(間)主観的な」問いがきわめて重要であること、実際、日韓台港の世論調査機関が積極的に調査データを構築していることからも、こうした問いに答えるための研究環境が整いつつあること、とはいえ、データを解釈するのがきわめて難しく挑戦的な課題であることを指摘しました。

 香港大学のChung教授は、1991年から始まる香港大学民意研究計画が実施してきた香港市民を対象にした時系列調査の結果について報告し、中国人アイデンティティや中央(北京)政府に対する評価・期待などの指標から、2008年を境に中国に厳しい視線が向けられるようになっていることを指摘しました。言論NPOの西村友穂国際部部長は、2005年に始まる同組織の日中世論調査の概略を説明しつつ、2012年を境に、日本人の対中認識が歴史認識をめぐる問題から領土問題をめぐる問題へと関心がシフトし、イメージの悪化に歯止めがかからない状況になっていること、それに比べて、近年の中国からの日本への観光客の急増が、中国における対日認識の部分的改善に繋がっている可能性があることなどを指摘しました。

 韓国のアサン政策研究院のKim上級フェローは、韓国における中国へのまなざしが、北朝鮮やアメリカとの関係の中で構成されていること、中国に対しては「協力者」から「競争者」へのイメージシフトが見られること、中国への評価・イメージは世代や性別によって異なり、その背後にこれら下位集団に見られる政治的指向性の違いがあることなどを指摘しました。最後に台湾の中央研究院社会学研究所の蕭新煌特聘研究員は、香港と台湾のデータを比較しつつ、中国からの政治的/経済的インパクトを説明する競合仮説を検証する中で、中国の将来をどう予見するか、みずからのアイデンティティをどう認識するかといった二つの要素が重要で、単純な接触仮説では事象を説明できないとしました。

 質疑応答やコメントでは、個々のワーディング(どのような質問をしたのか)に関する問題や、近隣社会で対中イメージが悪化していることの副作用、イメージ変容の原因などのトピックが扱われました。もともと5時半くらいまでのセミナーが30分以上延長し、それでも質疑応答が絶えないくらいに刺激的なものとなりました。中国の台頭という「政治経済的」事象を、周辺地域における「社会心理」と連関させつつ、比較の視点から議論することのむずかしさと必要性を感じるセミナーとなりました。

当日の様子



登録種別:その他
登録日時:SatOct2808:22:212017
登録者 :園田・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20171025 - 20181025
当日期間:20171025 - 20171025