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センターセミナー 「映画から見る中東社会の変容 (『明日になれば』 )」が開催されました

報告

センターセミナー 「映画から見る中東社会の変容 (『明日になれば』 )」 今回のセミナーでは、 梅若ソラヤ監督の作品『明日になれば』(2012年・レバノン)を題材に、映画の上映と黒木英充氏によるコメント、さらに、梅若ソラヤ監督とプロデューサーの梅若マドレーヌ氏を迎えての質疑応答を行った。
 『明日になれば』は、レバノンの12人のアーティストが登場するドキュメンタリー映画である。彼らの絵画や詩、演劇、舞踊、小説、建築などの「作品」と、発言、そして、それぞれの人生の軌跡を通して、レバノンの過去と現在、未来を描き出そうとする。
 「明日になれば」という表現は、レバノンの慣用句の一つであるという。例えば、映画の中では、アーティストらが、次のように語る場面がある。「「明日になれば」という言葉が伝えるのは明日への希望だ。明日に備えないと。」「「明日になれば」という言い回しがある。今日は懸命に生き、あとは明日に任せるんだ。この30年間そうして生きている。一日一日生きていくんだ。」
 コメンテーターの黒木氏によると、レバノンは、宗教問題、宗派闘争、民族問題、難民問題、貧富の格差など、「おおよそすべての国際的・政治的・経済的な問題が集中している国」であるという。1975年から90年までの15年間の内戦や、イスラエルによる度重なる侵略は、同地に生きる人々の毎日に不安と圧力を与えてきた。そうした状況の中にいるからこそ、レバノンの人々は、「寛容で忍耐強く、魅力的」である、と黒木氏は指摘する。そして、その彼らが発する「明日になれば」という表現は、示唆に富み、深い洞察を含む言葉なのであるという。
 監督とプロデューサーを迎えての質疑応答は、在東京レバノン大使のムハンマド・ディーブ閣下をはじめ、100人を超す参加者の中から、質問やコメントが続いた。映画での主題でもあるレバノンの人々の多様性や、その中でのアイデンティティーの問題がとくに盛んに論じられた。さらに、日本人の父とレバノン人の母をもち、米国や英国で学んだ梅若ソラヤ監督自身のアイデンティティーにも話題が及んだ。
 芸術作品を通して自らを表現することで、明日への希望をつなぐレバノン人のアーティストたちを描いた本作品は、それ自体が、レバノンや日本、あるいは世界の「明日」への希望を語るもののようであった。
(文:後藤絵美)

当日の様子

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センターセミナー 「映画から見る中東社会の変容 (『明日になれば』 )」

開催情報

【日時/ Date】
2014年12月8日(月)18:30-20:30
Monday, Dec 8, 2014 6:30-8:30 pm

【場所/ Venue】
東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室
Main Conference Room, 3rd Floor, Institute for Advanced Studies on Asia, The University of Tokyo
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/eng/access/index.html

【監督との対話/ Comment + Q&A 】
今回の研究会では、梅若ソラヤ監督ご自身に作品の解説をしていただく予定です(使用言語は英語と日本語)。ふるってご参加ください。
After screening we have a comment and Q&A time with director Soraya Umewaka.

* 『明日になれば』は米国・豪州・ヨーロッパ各国のフィルム・フェスティバルその他で上映され、高く評価されています。
Bader young Entrepreneur Jury‘s prize 2012 受賞(2012年)。
National Geography‘s International “All Roads Film Festival”(2012年)第一位。

予告編はこちら/ Trailer

【コメンテーター/ Commentator】
黒木英充氏(東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・教授)
Hidemitsu Kuroki (Professor, The Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies)

【題材/ Film of the Day】
『明日になれば』Tomorrow We Will See
レバノン Lebanon、2012、梅若ソラヤ監督 Director: Soraya Umewaka
アラビア語音声、日本語・英語字幕 Arabic with English and Japanese subtitles

【テーマ/ Theme】「表現 expression」

「書くことで、芸術作品で、自分たちを表現することができるかぎり、人々は癒されるんだ。」
内戦の不安が続くレバノンのベイルートで、若いアーティストたちは何を考え、何を求めてそれぞれの活動を
続けているのか。本研究会では、このドキュメンタリー作品を通して「表現すること」や「生きること」の
意味を考えてみたい。

"Tomorrow We Will See" offers a window into Lebanon's flourishing creative culture through the perspective of ten Lebanese artists.
A common trait that unites the artists is their talent of using art as a tool for transcending sectarian divisions and encouraging freedom of thought. Through their own artistic expressions, they have overcome decades of social and political instability and the uncertainties of what tomorrow may bring.

【主催/ Organizer】
中東映画研究会 Study Group on Middle Eastern Films

【共催/ Co-organizer】
東京大学・東文研・班研究「中東の社会変容と思想運動」
"Social Change and Intellectual Movements in the Modern Middle East" project at Institute for Advanced Studies on Asia, The University of Tokyo.

東京大学・東洋学研究情報センター・セミナー
This is a seminar held by Research and Information Center for Asian Studies, the University of Tokyo

準備の都合上、事前に下記のアドレスまで参加希望のご連絡をお願いします。
Please give us an e-mail beforehand for registration.
mecinema2014[at]gmail.com




登録種別:その他
登録日時:SatDec1320:49:472014
登録者 :後藤・長澤・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20141208 - 20151208
当日期間:20141208 - 20141208